「意義は大きい」福田村事件 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
意義は大きい
「過去のこの国の汚点を知る」「人の愚かさ」「集団心理の怖さ」「思い込みから事実確認しないまま暴走することの危険性」を示し、学ぶにはいい教材的な内容。
抑えられつつ効果的な音楽とも相まって、残酷な史実を浮き彫りにしていました。
関東大震災において、日本人の自警団たちが、韓国(朝鮮)人、訛りのある地方人、被差別集落民、社会主義者らを数千人規模で虐殺した史実を、警察や政府資料に記録が残っているにもかかわらず、(現政権与党や東京都知事などが代表的で)「見たくないものをなかったことにしたい」「政治的に利用しやすい方向へ歴史を修正しようとする」動きを牽制する意味では、作られた意義は大きい。
そして、直接手を下していないものの、見ていることしかできなかった傍観者も同罪であり、歴史を知らないままでいた観客にも他人事ではない、という事実を突きつけてくる。
ただ、本事件に関しては背景に差別問題があることで、関係者たちが多くを語っていない。
僅かな裁判資料と、事件の被害者側の生存者で当時子供だった人が晩年語ったことくらいしか記録がなく、詳細がわからない。
そんな中で、ドキュメンタリーの手法で物語を構成することで、すべてが本当のことのように錯覚させられてしまうという点については、多少疑問も残る。
それと、監督の政治的主張がにじみ出るシーンやセリフがいくつかあると感じ、感情誘導しようとする表現がストレートすぎて拙く、そこにひっかかりを覚えました。
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