「怒りと悲しみで涙が止まらない」福田村事件 くまくまさんの映画レビュー(感想・評価)
怒りと悲しみで涙が止まらない
何が起こるか分かっていたけれど、その理不尽さと、そう仕向けられていく人々に怒りと悲しみが止まらない。
人々が恐怖やデマや集団心理で、狂気に駆られていく姿は、漫画の「デビルマン」の最終章や、名作小説から映画化された「蠅の王」にも通じる。
そして、流言飛語の元となる群集心理を作り上げていく、警察、軍、政府、報道。「ジャーナリズムは権力を監視する」という本分を忘れ、権力側のスポークスマンになってしまう新聞の罪深さ。
こんなひどいことが行われていいはずがないと感じる一方、マスコミやジャーナリズムは今もこのときと変わっていない。権力側に都合の良いニュースしか流さず、都合の悪いニュースにはだんまりを決め込む。綿々と今に続いている問題だと思う。
現代においても、同じ問題は起こりうるし、戦争で人を殺すことが愛国であると思わされてしまいそうで怖ろしい。
小規模上映だが、クラファンで制作されたとのこと。このような映画をこれからも世に出し続けられるよう、また、映画としても非常に良く出来た作品のため、多くの人に見て欲しい。重く苦しいが、緻密に重ねられている多数の人の視点と感情がドキュメンタリーではない、素晴らしい劇作映画として心を打つし、おそらく今後高く評価されると思う。
また、個人個人丁寧に描かれた俳優陣が全員とても素晴らしいが、特に永山瑛太と東出昌大は役にぴったりだし、井浦新と豊原功補の立ち位置は、正当だけど腰が引けるという自分に一番近い人間かもしれない。水道橋博士は最後まで分からず、大変な役者ぶりだった。必見。
共感ありがとうございます。
劇映画だから、出来る事もあると思います。この事件を一般に知ってもらう為に観やすく作ったと思っているので、沢山お客さんに観てもらってヒットしてほしいです。