劇場公開日 2022年10月21日

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「スレスレのネタが続くブラックコメディー」ヴィーガンズ・ハム mamemameさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スレスレのネタが続くブラックコメディー

2024年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

日本だったら不謹慎だ無礼だと言われそうなセンシティブ(主に政治/宗教系)なネタがてんこ盛りで、これが受けるフランスは心が広い。あるいは普段からそのような衝突が身近にあるのでこのレベルでは目くじらを立てないのか。
イスラエルとパレスチナのようにとか、イランの豚とか(イランはムスリムなので豚はご法度)、「ハラール無いよ」と言ったら「いいからイランの豚をくれ」と言った彼は破戒ムスリム。
おまけにウィニー。熊の被り物でからかったりピグレットの話が出たりすることからわかるようにこれは「クマのプーさん(ウィニー・ザ・プー)」のことで、習近平が似てるってことで中華圏ではタブー。製作年から考えて、製作側にその意図が無いとは思えない。

また、カニバリスムについても「キリストの肉だって言って食べてるじゃない」というセリフがあるが、これは映画「生きてこそ」(ウルグアイの遭難者たちが生き延びるために他の被害者の肉を食べながら救助を待つ話)でも出てきたセリフ(あるいは伝記のエピソードだったかも)。
ところで、佐川一政が人肉を食べたのはパリでの話。今回の舞台もパリ。これは単なる偶然だろうけど。

なんでこの映画で人肉食がコメディのネタとして通用するのか?
日本だったらB級グロテスクホラーでしか使われないネタだろう。(「ひかりごけ」を除く)
ヨーロッパではそこまで人肉食は(知識として)一般的でないから?
実際にパリでの人肉食の話はついぞ聞いたことが無いし、犬鍋や猫肉以上にネタにもならなかった。そこまで人肉食は縁が無いから、ここまでのネタに出来るのかな?
おそらくヨーロッパの人にとっては人肉食はアジアや南米の未開地の話か、戦時中のソビエトの話でしかないんだろうなあ。
でも日本では肉(しし)食いの文化が浅く、人肉食も倫理的に受け入れない。わかってこの映画を見ている人は大丈夫だけど、いきなり普通の人が見たらそうとう拒否反応がおきるのでは。

mamemame