「この流れのなかに刻まれていた言葉をひろいたい」アムステルダム humさんの映画レビュー(感想・評価)
この流れのなかに刻まれていた言葉をひろいたい
劇場での予告にぎゅうっと惹かれて持ってかれ、公開を心待ちにしていた。
死体を前に、第一次世界対戦中に出会って再会した義眼の医師のバートが弁護士ハロルドと看護師ヴァレリーに言う。
「楽観的に考えよう。」
冒頭から衝撃的で、アメリカ史上にある陰謀事件にのっとったほぼ事実ときてる。
殺人がベースにあるし国が絡んでいるようだし、
これはこの先どんなにシリアスさが進んでいくかとおもっていたが、ユーモラスさとコミカルさが随所にたたみこまれて次々と飛び出してくる。
荘厳で華麗に美しい美術館の中を歩いてるが、しかけにニヤリとするようなポップなびっくり箱がそこら中からたくさん出てくる感じ。
色や形に惹かれる私は映像の絶妙な色合いや、衣装、ニュアンスありのセットにぴったりな音楽をたっぷりふりかけたような世界観に痺れながらすぐに圧倒された。
しかし、そこに夢中になりすぎると、時代背景や場面の切り替えにスピード感があるので、危うく頭がすっきり整理できず、正直、あわてて何度か気合いの入れなおしをした。
そう、コミカルだがシリアスだから楽ちんには観てられない。
だけど、その間、さっきのバートのセリフが、あたまにずっとこびりついたまま…どっちよーという感じ笑
主役男女3人は貫禄のうまさで画面にせまってくる。隙もそつも全くない。しかし、戦時中の縁からの友情を感じさせるシーンでは、ほのぼのとしたあたたかさと青春の淡いにおいも滲んでいて何か言い表せない愛おしさすらある。
その関係をみているとどんな時代や状況下でも、人類の持つ心に通ずる普遍的なものも感じるのだ。某国の指導者にもそれが残っているとしたら、それを思いださせる相手は誰か?もはやそれが唯一の光なのではとふと感じたりしつつ。。。
脇役の演者たちもそろって個性に満ち魅力的にすばらしく存在している。メイクなどの仕事、演出もあわせて、ここに全てのプロ感が満ちているTHEエンターテイメント!であるのがわかる。
スピード感、スロー感、ハードさ、甘さ、切なさなど感情のすべてが映画を見ながら混ぜられ、場内の空気にもってかれてスクリーンにはねていって奏でられてブーメラン的に戻ってくる。その繰りかえすこと。非常に贅沢だ。
戦争がふたたび身近にある今、深刻だからこそ、幅広く伝えるためなのかな。振り切ったような演出は。あえてなのではないかなー。と感じた。
賛否両論あるようだが私はそう受けた。
そして、刻まれていた意味深い言葉をかみしめている。
愛とは必要でなく、選択。
間違った神を追うな。
そうだ。
「楽観的に考えてばかりではいけない」こともある。
もう一度観たらもっとはっきり胸に落とし込めるものがある気がしていてうずうずする。
きっと足を運びます。
よく寝て頭がさっぱりしてる日に〜。
Uさんさん
このノスタルジックさ、かつてに思いを馳せる歳頃によく効くのでしょうね^ ^
脱線もまた人間身のある愛あればこそ。輪の中にいるようにうきうきしてる自分がいました。