劇場公開日 2022年10月28日

「観たかった度○鑑賞後の満足度✕ (この組合せ・顔ぶれで)あり得ないけど、ほぼ愚作。」アムステルダム もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0観たかった度○鑑賞後の満足度✕ (この組合せ・顔ぶれで)あり得ないけど、ほぼ愚作。

2022年10月30日
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鑑賞方法:映画館

①これ程タイトルが無意味な映画も珍しい。第一次世界大戦のフランス戦線で出会った主役三人が戦後の一時期「アムステルダム」で楽しい時を過ごしただけで、物語(特に中心をなす陰謀の話)には有機的に少しも絡んでこない。当時戦争の影響をあまりを受けなかった都市であればどこでも良かったんじゃない?というくらい意味がない。
②何と言っても脚本がつまらない。思わせ振りな導入部から過去に遡る作劇法は特に目新しくは無いが、それでも面白くなるかと期待したのに見事に肩透かしを食らう。導入部で良かったのは歌姫テイラー・スウィフトの役があんな形ですぐ消えてしまうのに驚かされたのと、ハーバーとイルマとの出会いが有ったことくらい。
③“陰謀”に関しても、第二次世界大戦前に第一次世界大戦の戦勝国だった国々にもナチスやファシズムのシンパがいたのは別に珍しい話ではないし、“陰謀”の核心に迫るまでに謎解きの面白さもなければ伏線もなく何の捻りもないのが致命的。誰でもいずれたどり着けるわ、くらいの味気なさ。ラストの戦傷復員会のパーティーに何故かドイツ人がいていたのも唐突で?最後のデ・ニーロの演説も、そこにたどり着くまでに話の膨らみが殆ど無いので、取って付けたようで感興が湧かない。“Cuckoo?”が面白かったくらい。
④クリスチャン・ベールは『ソー:ラヴ&ソー』に続いて最近精彩がないね。
⑤マーゴット・ロビーは相変わらず派手な顔が美しく、ローリングトゥエンティーズから1930年代の髪型・ファッションも良く似合っているけれども、結局どんな女性なのか最後までよく分からない。脚本の描き込みが足らないのだ。だが、ローリングトゥエンティーズの髪型・衣装が映えるということが分かったので次の『バビロン』に期待しましょう。
⑥ラミ・マレックは『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でもそうだったけれど、悪役としては貫録不足だし線が細い。
⑦アニヤ・テイラー=ジョーズも『ラストナイト・イン・ソーホー』ではfemme fatal 0としてあんなに蠱惑的だったのに、ここでは単なるチンピラ悪女。目の間が広い!
⑧刑事コンビの生意気な方の相方がどこか見覚えがあると思ったらやっぱりアレッサンドロ・ニボロ。何故か若い(若づくり?)。こんな脇役でコメディ・リリーフをして且つ印象に残るとは役者として成熟してきたな、と感慨深い。いつかは助演男優賞を取って欲しいね。
⑨あとはイルマ役のゾーイ・サルダナが好演、印象的だったくらいで、それ以外は殆ど観るべきところがない。
⑩デビット・O・ラッセルの演出力はそれほど落ちていないとは思うが、『世界に一つのプレイブック』のユーモアやヒューマニズム、『アメリカン・ハッスル』のユーモアが微塵も感じられない。ジェニファー・ローレンスに出て貰ったら良かったのかも。

もーさん