劇場公開日 2022年10月28日

「豪華俳優陣によるサスペンス」アムステルダム bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5豪華俳優陣によるサスペンス

2022年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

あまり話題にも挙がらず、自分も公開されるまでチェックを怠っていた作品ながら、その出演者の豪華さを知り、慌てて映画館に駆けつけた作品。第1次世界大戦後の1900年代初頭を舞台に、国のため戦った復員兵達にスポットを当て、戦争という時代背景の中で蠢く、大富豪による陰謀を暴いていくサスペンス。

題材としては、史実に基づいた、大変シリアスで、緊迫感のある内容である。しかし、どこかコメディータッチな演出の創りや、当時の衣装を身に纏った、ボギーやボガが街を闊歩する、ノスタルジックな風景が描かれており、古き良きハリウッド映画の雰囲気を漂わせ、郷愁を誘う作品でもある。

物語は、第1次世界大戦で大けがを負ったバートとハロルドが担ぎこまれた野戦病院で、看護師・ヴァレリーと知り合う。意気投合した3人は、戦後にアムステルダムに移り住み、「何があっても、互いを守り合う」という誓いの友情の中で、自由を謳歌する暮らしをした。しかし、時の経過と共に、バートとハロルドはアメリカに戻り、ヴァレリーも消息不明となった。

十数年後、バートとハロルドは、戦地で世話になった大尉の死の真相を、突き止める依頼を受けたのだが、ひょんなことから、その娘の殺人事件の容疑者となってしまう。2人は、自分達の濡れ衣を晴らす為に、ある大富豪の有力者の元を訪れるのだが、その先で、ヴァレリーと再会を果たす。改めて3人は、真犯人と真相を調査し始めるのだが、その時には既に、戦争による金儲けを企む猛者達による、巨大な陰謀の渦中にあった。そんな折、大物政治家が3人の声に耳を傾け、協力を得て、命がけで陰謀を暴き、真相を明らかにしていくクライム・サスペンス。

とまぁ、ストーリーとしては、よくあるサスペンスではあるが、とにかく俳優陣が豪華。

まずは、主役のバートとヴァレリー、ハロルドの3人に、『ダークナイト・シリーズ』のクリスチャン・ベール、『ハーレイ・クイン』のマーゴット・ロビー、デンゼル・ワシントンの息子で『ティネット』のジョン・デビット・ワシントンが演じている。また、大富豪役には『ボヘミアン・ラブソディー』のレミ・マレック、医師役には『アバタ―』のゾーイ・サルダナ、先日公開された『ブレット・トレイン』では悪役を演じたマイケル・シャノンも出演。その他にも、クリス・ロック、アニア・テイラージョイ、アンドレア・ライズボロー、テイラー・スイフト等々、主役級の俳優陣が、しっかりと脇を固めている。

そして、そして最後に登場する大物政治家役では、大御所・ロバート・デニーロまでもが円熟味の演技を魅せてくれる。これだけの俳優陣を招き、それぞれの個性を活かし、存在感のある演技として映し出した、デビット・O・ラッセル監督の手腕が、光る作品ともなっている。

映画好きには、これだけの豪華俳優陣を観るだけでも、価値ある作品とも思える。

bunmei21