「カタルシスはキャスティングに全振り?」アムステルダム ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
カタルシスはキャスティングに全振り?
ほぼ実話というふれこみだが、後で調べてみるとどうやら主役の3人は架空の人物らしい。ロバート・デ・ニーロ演じるギルのモデルであるスメドリー・バトラー将軍を、ルーズベルト政権転覆のためのクーデターに担ぎ上げる計画があった(かも知れない)、という部分が史実のようだ。この計画の背後には大企業や銀行家がいたとも言われている。(計画が事実なら)戦争を金儲けの道具にしようというわけだ。
彼は1930年代にコネティカット州の在郷軍人会で戦争における企業や銀行などの金儲け主義を批判し、その内容は『War Is A Racket』(邦題『戦争はペテンだ』収録。検索すれば日本語訳で全文を読める。講演の時期を考えるとなかなかインパクトのある内容)という小冊子にもなった。同時期に議会で本作の元ネタとなるクーデターの告発を行っている。
何しろキャストが豪華だし映像も綺麗なので、目には楽しい。ただ、演出は明らかにコメディタッチなのだが全く笑えるところがなく(英語が十分に聞き取れれば違うかも)、何だかテンポも悪い。前半で3人が仲良くなるあたりまではそれなりに面白く見られたが、その後すごく眠くなってしまった。
全体的に今ひとつ盛り上がりに欠けた気がする。笑いに乗れなかったことに加え、元ネタの史実を寡聞にして知らずピンと来なかったこと、言葉での説明が多かったこと、そんな状態の中にあってオールスターキャストの布陣が注意力を散漫にさせる方に働いてしまったことなどが原因だろうか。
物語のテーマも、「必要だからではなく自分で選んだかどうかが大事」などの言葉で示されるメッセージと作品内の出来事との繋がりが薄い気がした。クリス・ロック中心に人種差別への皮肉のようなネタもあったように見えたが、それと物語全体が伝えようとしていることとの繋がりがよく分からなかった。主人公たちが巻き込まれるクーデターの陰謀絡みの話からは、戦争をも利用する金満主義への批判を読み取りたくなる。結果的にどのテーマもぼやけてしまった気がする。
ではどう楽しめばよかったのかとググってみると、専門家や某映画サイト担当者の座談会記事には、「3人の友情がハリポタみたいで素敵」「女優がみんな美しい」「豪華キャスト」「照明や色彩が綺麗」「テイラー・スゥイフトに注目」といった言葉が並んでいた。うーん、そういうこと……なのか……?
クリスチャン・ベールの相変わらずの役への馴染みっぷりと、マーゴット・ロビーの美しさには満足した。
ニコさん。イイねコメントご賛同ありがとうございます。😊コレそれなりに有料パンフで持ち直してればそこそこだったのかもです。いきなり裸でこんな作品突きつけられても・・欧米人が日本語カタコトすら無理なように、つまらないセリフの連続で辟易しました。支離滅裂とはこのこと。共感ありがとうございました😊。またよろしくお願いいたします🙇♂️。