劇場公開日 2022年10月28日

「winding road」アムステルダム まめもやしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0winding road

2022年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

キャストと衣装・美術は間違いなく良いのに、絶妙に面白くなかった。

“歴史は繰り返す”ように、陰謀論や背後にある組織など、現代の日本にも通じて観る理由はしっかりあるのだが、物語がいかんせん面白くない。話の大筋は決して難しくないはずが、回り道を繰り返すことで混乱を招く事態になっているのだ。

さらに、その曲がりくねった道中は、緊張感もなく、かと言って思わず笑ってしまうほどのユーモアもほぼない(少なくとも笑い声が漏れてしまうほどのユーモアはなかった)。とにかく、俳優たちと衣装、美術といった視覚的な部分で映画をもたせている。

それが“ほぼ史実”なのだとしても、そこは映画の演出の見せ所だと思えてしまう。デヴィッド・O・ラッセル監督の過去作『アメリカン・ハッスル』も、実際の事件を元にした映画だが、そちらは面白さはちゃんとあった。同様に『世界にひとつのプレイブック』で描いた、クレイジーさのなかの絶妙なユーモアも本作では感じられない。

はっきり言えば退屈だし、眠くなる人も多いと思う。例えるならウェス・アンダーソン風に描こうとして散らかったようなプロットだった。蛇行せずに、クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントンの3人の友情と愛の行方をちゃんと描く物語にフォーカスすればずっといい映画になったと思えてしまう。

キャストの無駄遣いとまでは言わないものの、もったいなさを感じずにはいられない作品だった。

まめもやし