「緊迫のサバイバル」ペルシャン・レッスン 戦場の教室 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
緊迫のサバイバル
皮肉な最後が秀逸だった。
最も印象に残るのは、主人公がペルシャ語を教えることになるドイツ将校そのものだろう。
自身の行っている、加担していることについてあまりにも無自覚であり、無責任だ。その悪気のなさと、ないという態度がとれるほどの無責任さは唖然とするばかりである。
そしてないからこそ、主人公とどこかで分かり合えている、と信じているあたり、
もう目が当てられない。
レッスンが始まった当初、信じて一生懸命、単語を暗記する姿はコントかと笑いが止まらなかった。だが悲劇が過ぎると喜劇のように、喜劇が過ぎると悲劇は呼び込まれる。
未見だが「関心領域」も同じタイプの作品ではないかと感じたがどうだろう。
そういう意味で、ペルシャ人と偽りホロコーストでサバイバルするユダヤ人が主人公ではあるが、描きたかったのはそんな主人公の目から見た
「無自覚とおこなわれる悪の愚かさ」あでり、無知がゆえ気付かぬうちに誰もが加担しかねないことへの警鐘ではないかと考えるのである。
とは言え将校、薄々は罪悪感を抱いていた感もあるが、償いと主人公を逃がす程度ではやはり許されるような罪ではなかったと思うばかりである。
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