泥の子と狭い家の物語のレビュー・感想・評価
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奇妙だが斬新
とても奇妙な物語
登場人物たちの持つ問題点をすべて解決するための手段が「家族解散」だった。
そこには家族みんなが納得済みであり、解散してもなお家族という絆だけは残っている。
家族というものに対する新しい形を視聴者にプレゼンした作品とも取れる。
この最後の家族解散が大どんでん返しと同時にオチにもなっている。
カガミという名前も非常に気になる点だ。
彼女は魔女役として登場しているが、実際には内田家の負の感情の総合であり、まさにそれを鏡のように生き移したと考えることができる。
そして影絵のような黒猫たち
彼らは影であるにもかかわらず、内田家の負の感情を実在化したカガミを訝る。
黒猫たちを飼う占い師の登場はお決まりのパターンにも見えるが、この物語はそんな予想を超えてくる。
カガミは実在したのだろうか?
タックンは警察を呼びに行ったが、その後の鏡については語られていない。
さて、
父はなぜ自宅を破壊し始めたのだろう?
冒頭から自宅の狭さを嘆く主人公小豆のセリフがあるが、それを指摘していたのは小豆だけであり父も母も祖母も家の狭さに言及していない。
当時身の丈ではあったものの無理をして購入した一軒家
そこに生活のすべてと家族の思いのすべてを詰め込んで生きていかなければならない。
多少の我慢
誰かの所為にしてしまうこと
それが「あたりまえ」だと認識されれている。
そこに疑問の余地はあまりない。
そこに意義を申し立てれば、「家族解散」となる。
そこに現代社会の見えない線がある。
「決して超えてはならない」という暗黙の一線がある。
だから誰もそれに意義を唱えることはなかった。
しかし、
この作品はそこに切り込んだのだ。
内田家の人々はすべて別々に住むことで家族の絆を保つことに成功した。
昨今聞く熟年離婚
すべてのすべてが多様化するようになった。
したいことが「できない」のはなぜ?
もしそこに取り払うべきことがはっきりしたならば、「こんな解決方法がある」のかもしれない。
本音 本心
体裁と取り繕いが上手な日本人
でも、本心を明確にしてそれに沿って生きることには大きな価値が隠れているのかもしれない。
私の本心
本当にしたいこと
それを「何か」がある所為で考えないようにしていることは誰にでもあるように思う。
自分の本心を明らかにする。
この純粋な取り組みは遅すぎることなどないのかもしれない。
面白い作品だった。
赤バット、お前が使うんかいっ!
正直、よく分からない部分も多い。
冒頭にだけいた男の子(弟?)や、父親だけ主人公を『こまめ』と呼んでいたのは伏線かと思ったが、何もなし。
最後に家を壊す理由も、加賀美の目的も不明。
しかし、急な動きや音ではなく、台詞のトーンや表情、BGMなどで醸し出すホラー感、不穏さの演出は絶妙。
月丘さんはじめ、静かな熱演が光っていました。
家族解散は意外ながら、絆や想いでの解決はストレート。でも悪くない。
演技のみならず、美術や小道具に至るまでリアルで、それがファンタジー要素を受け止めつつ、引き立てていた。
そして、主演の織田ひまりさんが抜群にかわいらしかった。
台詞は若干拙いところが残るものの、表情には光るものを感じ、今後が非常に楽しみです。
個人的には好きな作品でした。
悪魔のリリック
大阪の狭小住宅で暮らす家族が鍼灸師と名乗る女性の登場で狂って行く話。
ぎっくり腰で失職し1年間無職の父親とほぼ寝たきりの祖母、そして家族の面倒を見続ける母親と暮らすそんな生活が嫌な女の子、というちょっとすれ違いながらも普通に暮らしていた家族の母親が疲れ果て、ある日鍼灸師という有人を連れてきて…。
黒猫は透けていたけれど、実在している体?とか、弟はどこ行った?と良くわからないところも有ったけれど、母親を洗脳し、父親を懐柔し、とどんどんエスカレートしていく様はとても不気味で不快で引き込まれる。
ちょっとオカルトっぽい言い回しになってしまっていたのは勿体なかったし、もっと重~くシリアスだったらと勿体なさも感じたけれど、主役はあくまでも小豆ということで仕方ないのかな。
豊田商事会長事件を彷彿とさせる流れの割りに少しマイルドだし、そこからの加賀美の描き方が尻切れトンボだったけれど、それでも面白かった。
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