餓鬼が笑うのレビュー・感想・評価
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赫い林檎と月とツキ
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“幻想奇譚”と銘打たれている通り、かなり不可思議な話。
現実、異世界、妄想、幻想、果ては此岸と彼岸までもが曖昧になっていく。
警棒で殴ってくる婦警は現実的でないが、ただの映画的誇張だろうか。
あの時に赤く染まる視界と、予告にもある疾走するカット(走り方が良い!)が印象的に入る。
あらすじにも黄泉に迷い込むのは競りの後だと書いてはあるが、とっくに幻想に呑まれていたようにも思う。
実際、幼い佳奈(もう少し面影の似たコにしてほしかった)との邂逅が先に描かれている。
そのあたりが同時並行的にある時点で、始点を定めるのも無意味か。
後で知ったが、田中泯演じる高島野十郎は実在の画家だそう。
蝋燭の絵も生涯描き続けたモチーフであり、売ることも展示することもなく周囲の人々に贈っていたとか。
「月は闇を覗くための穴」という台詞も実際に語っていたようであり、彼が本作の重要な鍵なのだろう。
しかし、個人的にはそういった知識なしでも作品内でもっと完結していてほしいとは思う。
とはいえ最後の笑顔とeastern youthのエンディングで前向きに終わったので後味は悪くない。
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