「ちょん髷姿の神木君」大名倒産 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ちょん髷姿の神木君
浅田次郎・原作小説の映画化。田舎侍の息子として質素な暮らしをしてきた間垣小四郎が、突然、借金を抱えた藩の殿様を押し付けられ、その借金返済に向けて、東奔西走するコミカルさと人情味をミックスさせた時代劇。主役の間垣小四郎には、初のちょん髷姿で取り組んだ神木隆之介が演じた。
越後の田舎侍の息子として、塩鮭を作って生業としてきた父と優しい母に囲まれて育った小四郎。しかし、小四郎の実の父親は丹生山藩主・一孤斎で、小四郎は血のつながる藩主の跡継ぎであることを知らされる。そして、一孤斎は小四郎は藩主として招き、自分は隠居をしてしまうが、その裏には、25万両(100億円)もの借金があり、その借金を小四郎に押し付けてきたのである。
そんなに多額の借金は、寝耳に水の小四郎は、藩の財政を節約し、借金返済に東奔西走するが、それだけで間に合うことも無く、一孤斎は『大名倒産』を企む。そんな折、その借金の裏に暗躍する陰謀と共に、それに伴う上官と卸問屋への金の流れが明らかになっていく。その借金のカラクリに気づいた小四郎と藩の部下は、一丸となって陰謀を明らかにしていく。
それほどのサプライズは無く予想通りの結末だったが、前田哲監督らしく、日本人が好む人情味のある展開と面白さを兼ね備えた時代劇として仕上げている。
主演の神木隆之介は、もはや日本を代表する俳優でもあり、個人的には、彼が出演しているだけでも「観てもいいかな」と思うようにさえなってきた。そして、本作は、本来ならば十分に主演を張れる、浅野忠信、松山ケンイチ、杉咲花、宮崎あおい、小日向文世、佐藤浩市が脇に回り、脇役としても今や欠かせない梶原善、石橋蓮司、小手伸也等の豪華顔ぶれが揃っている。