「いつかそこに辿り着けることを信じて」エンパイア・オブ・ライト 吠えない狼さんの映画レビュー(感想・評価)
いつかそこに辿り着けることを信じて
どこかシニカルで、綺麗ごとだけでなく出来れば見たくない暗部も描きつつ、最後はホロッと感動させるそんな映画でした。
名優オリビア・コールマンのジェットコースター演技、名匠ロジャー・ディーキンスの息を呑む映像。特に後者は映画タイトルそのもので、作品を掛け算で格調高きレベルまで持っていってると感じました。
決して良いことばかりではない、主要人物たちはどこかに問題やコンプレックスを抱えている、そこに社会情勢もある、生きてる以上いつだってどこにだって誰にだって不満や不安はある。後半近くまで少しツラい描写が続くものの、ラストの映画館のシーンでちょっとだけ、でも確かに救われる。きっと誰もが皆、こんなシーンに象徴される救いや癒しや楽しみを追い求めながら生きているのかななんて、センチメンタルな感傷に浸っちゃいました。
王道からは少し外れるかも知れないけど、素敵なヒューマンドラマでした。
最後に、トビー・ジョーンズが味わい深かったです。息子とのエピソードはこの作品の隠れたハイライトではないでしょうか。
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