「受け入れること。期待すること。」エンパイア・オブ・ライト N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
受け入れること。期待すること。
一筋縄ではゆかない、ぐっと大人の人間ドラマだった。
「期待」することは人を何度でも生まれ変わらせる。
生まれ変わるということはある種の錯覚で、
それは映画のフィルムが一定の早さでコマ落とされると、
合間の闇が消えて光だけが見えるように。
そうとらえる。
痛めつけられた人生に期待もなく、
だからして受け入れ難いもので埋め尽くされた中を生きる主人公が、
映画が見たい、というシーンにノックアウトされる。
そんな風にきたか! と。
無邪気に鑑賞する姿へスポットライトを当てた作品は多いが、
そんなぐあいに無邪気と物語を受け止められる心持ち、
受け入れ信頼したからこそ期待し、
胸躍らせて鑑賞できることの素晴らしさ、
へ焦点を当てるとは思いにもよらなかった。
人種、歳の差、道徳的に、混然一体として清濁飲み合わせるも、
ゲスくもグロくもならない匙加減がスゴイ。
あの曖昧な距離感を、描き切った繊細さに脱帽する。
映像も最低限はおさえるも、控えめで簡素な描写が「和の心」かとシブかった。
看護師お母さんの存在感、説得力がありがよかったなー。
久しぶりに憎たらしいキャラに会ったよ、劇場支配人!
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