「重苦しくて胃もたれする物語も、最後にはスッキリ消化」エンパイア・オブ・ライト bionさんの映画レビュー(感想・評価)
重苦しくて胃もたれする物語も、最後にはスッキリ消化
コリン・ファース演じる劇場支配人にムカムカするやら、精神が不安定な状態に陥ったヒラリーにヤキモキするというかハラハラしたりして相当なカロリーが要求される。
暴徒化した白人の若者が劇場になだれ込んで、黒人であるスティーブンを襲いだすシーンに至っては、目を背けたくなる。
ヒラリーとスティーブンのロマンスには、明らかな障壁が立ちはだかる。黒人男性と白人女性という組み合わせだけでも、ケント州の港町では目立ってしまうし、親子ほども年が違う青年と中年女性という属性も加わって、誰もが違和感を感じてしまう。この違和感が、終盤への伏線になる。
オリヴィア・コールマンの存在感は圧倒的で、迷惑なお客も笑顔で上手くあしらう劇場主任を演じたかと思えば、スティーブンの前で少女のように恥じらってみせる。
胸がすくような堂々とした態度を見せた後には、自己嫌悪に陥って自暴自棄で、虚な表情になる。
重苦しくて胃もたれがする物語ではあるが、スッキリと消化できるラストが待ってますよ。
映画館が舞台なんですから。
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