「前ノリのジャズだった。」オスカー・ピーターソン はるさんの映画レビュー(感想・評価)
前ノリのジャズだった。
ジャズらしき音楽を聴いたのは16歳の夏だった。そしてそれはオスカー・ピーターソンのピアノだった。不思議な感覚だった。身体の中に3匹の子豚がタキシードを着て軽やかに身体を揺らし、僕を誘った。踊ったことなど今まで一度もなかった。なのに、彼らよりも上手くステップが踏めて頭が空っぽになった。そして、レコードを買った。
あらから何十年経ったのだろう。暫く忘れていた。彼のピアノのことは…。
過ぎ去ってしまった愚にもつかない事ばかりを思い巡らし悔やみ続ける日々が終わった。そんな気持ちが湧き上がるのを感じる。この映画を観ていて…。
失敗を繰り返しては悔やみ。傷つきながら傷付けながらピアノを弾きつづけろ。そんな彼の声が聞こえる。
才能なんていらない。ありのままを指に任せて盤上を走り抜ければいい。
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