「僕も卒業していない」少女は卒業しない 2222さんの映画レビュー(感想・評価)
僕も卒業していない
朝井リョウさんの本は沢山読みましたが、少年だった私には少女の物語はピンと来ないかも・・ということで原作未読だったので、先入観なしで観れました。やっぱり朝井さんの物語は好きだなと感じました。
朝井さんの他の学園系と比較し、汗くさいバイタリティやぬめりをおさえて、か細くキラキラさせた物語という印象でした。
のどかな田舎に、飾らなくて幼くてキラキラしている複数の登場人物たちが似合っていました。自分の学生時代が生々しく蘇ってきてしまう懐かしい気持ちや風景、いつの時代も変わらぬ学園あるあるがたくさん散りばめられていて、キュンキュンさせられて、卒業式の日への気持ちが高まっていきました。主人公以外のそれぞれの奥行きみたいなものも、卒業式に向けて感じることができました。面白い小ネタのセンスもツボでした。
ありふれた通学路、家庭科室や図書室のにおい、階段の踊り場でのひそひそ話、ほこりっぽい体育館、いつか必ず訪れる卒業の日、、なんてこと無い風景に朝井さんのセリフがのると、当時の気持ちが込み上げてきてしまって、登場人物達の気持ちが生々しく感じられてしまいました。
そんなこんなで油断しており、やられました。個人的には、主人公に関わる展開はありがちにも思えるし、反則ぎみに感じました。それは勘弁して~って叫びそうになりました。とはいえ、この展開があるからこの小説が映画化されたのかな~なんて、無駄に勘繰り、複雑な気持ちになりました。最後の答辞にだいぶ救われました。投げっ放さない真面目さはさすがだなと思いました。定型にも思える答辞の言葉なのに、その重みにぎゅっと胸をつかまれて震えました。
脇役?達も素敵でした。特別な人物ではないし、そこまでドラマティックな展開があるわけじゃないけど、じゃないのに感動させられちゃうのは、やっぱりすごいと思いました。桐島の時と同様、脇役達にも血が通ってるのが朝井さんのすごいところだと思います。
相変わらず、取って付けたようなハッピー/アンハッピーエンドで括らせない点も好みでした。誰もが登場人物たちの未来に向けて、心の底から『卒業おめでとう』と声をかけたくなるような映画だったと思います。
図書室のシーンが好きでした。少しダブるような気がした個人的な思い出が蘇りました。そんな意味でも観て良かったです。
(高校時代の司書の方との出会いが無かったら、きっと読書が好きではなかった。授業をさぼった時も図書室に居させてくれて、好きそうな本も教えてもらったし、何より読書の魅力を教えてもらいました。間違えて2冊買ってしまったということで、絶対に内緒で!という約束でいただいた本を今でも持ってます。あの日当たりが良くてあたたかい図書室で過ごした時間はかけがえのない思い出です、、)
私が「定型の言葉」で思い出すのが「ビューティフル・マインド」です。普通に聞けば、ごく普通のスピーチなのに、映画を見終わった後に聞くと、ずっしりと心に残るというスピーチでした。今回の答辞も、映画を見ずに聞けば、ほんとに普通の答辞に聞こえたと思います。2222さんの表現がぴったりとはまり、心に残るレビューになりました。
好きな子が読書好きだったので、図書係に立候補し、司書さんに出会いました。
自分もその本好きなんだ~って言いたくて、読んでる本をリサーチして、同じ本を頑張って読んでました。深い話は司書さんとしかできませんでしたが~
そんなストーカー気味なエピソードも添えさせていただきます。今思えば、司書さんには下心がばれていたかもしれません、、
たくさんの共感をありがとうございました。
私も答辞のシーンでは、どんな本人のおもいが入るのだろうと聞いていましたが、定型に詰まるすべてにそれ以上のものを感じ心打たれました。
2222さんの図書室のエピソードは、グレシャムの法則さんに同感1票です^_^
司書役は有村さんで!
図書室の本の整理もさせられていたので、その埋め合わせかもしれません!ほとんど古本の文庫本しか手にしてなかったので、単行本の新品の本がもったいようでドキドキしました。推理小説だったので、映画のように、しんなりするほど長い時間にぎりしめることはありませんでしたが、、
ありがたいお言葉!
私の中で答辞内容のハードルがとても上がっていて、そうか読めないまま?終わりか~たしかにどんな内容であれ物足りないかもな~っと思っていました。
あの答辞を聞いた時、あくまでも代表者としての答辞というスタンスを貫いたんだな~とか、この子はもう前を向いてるんだな~とか、色んなおもいを抱えながらも整理した結果、このオーソドックスな文章になってるのがわかるな~なんてことがかけめぐり、すごく感動しました。
あの答辞が彼氏に届いて良かった。
「定型にも思える答辞の言葉なのに、その重みに胸をぎゅっと胸をつかまれて震えました」
このレビューを読んで、自分が思ったことを的確に表現してあり、とても心に残りました。