ファミリアのレビュー・感想・評価
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絶望と憎しみの連鎖を断ち切るものは
ラスト直前まで思った以上に救いがなく、観ていて苦しかった。
マルコスの抱えたトラブルはこじれてゆき、海斗の八つ当たり的暴走は収まらず、誠治は幸福の絶頂にあった息子をナディアとともに亡くす。
大切なことを描いた作品なのは分かるのだが、吉沢亮演じる学が亡くなったあたりで、きつすぎて心が一歩引いてしまった。スクリーン越しのことなのにたじろいでしまうような絶望。
物語に登場するブラジル人の多く住む団地には、一見おだやかな雰囲気があった。しかし、モデルとなった豊田市の保見団地では、特にブラジル人住民が増加した90年代に、周辺の日本人との軋轢が深刻な時期があったようだ。
私はそのような環境に住んだことがないので想像でしかないが、文化や慣習の違う者どうしがほぼ半々の割合で共存するというのは、双方にかなり苦労があるように思う。
本作では海斗が過去にブラジル人の事故で妻と子供を亡くしたエピソードを織り込み、差別をする側を愉快犯的な単純悪としないことで問題の複雑さを暗示している。
そして、やはり役所広司の醸し出す雰囲気が素晴らしい。昔やんちゃだったという言及が一言あったとはいえ、いかにも陶芸家らしい寡黙な壮年男性が、終盤で突然半グレを殴り倒して首を絞めても、キャラがブレたような印象が全くないのは彼の力量だと思う。序盤で家に転がり込んだマルコスを受け入れる時に見せた胆力も効いている。
ただ、誠治が最後に解決手段として暴力を使ったことはちょっと引っかかりもあった。刑事の駒田に根回しした上で行動に及んでいて、事後にお咎めがあった様子もない。綺麗事を言うつもりはないが、半グレの暴力が散々悪として描写された後なので余計気になった。
それと、誠治が軽トラでいきなり首相官邸に行く場面やテロ対策室関係者などの人物描写は、製作者側の思想が透けて見える気がしてちょっと萎えた。プラントでのテロ勃発直後に誠治宅を訪れた政府関係者、東京で面会したテロ対策室長、学の棺の側にいた担当者、おしなべて「役人のお役所仕事」を絵に描いたようなキャラクターで少々うんざりした。
国籍という属性で一括りにするのではなく一人の人間として相手を見ようよ、という映画なのに、公務員の描写は見事に類型的で一括りにされているので、そこだけ浮いているような印象だった。こういうちょっとした描写で作品が一気に薄っぺらくなるので非常に残念。
ラストにはようやくかすかな希望が見える。
「話す言葉も、育った環境も違うのにさ、俺たち家族になるんだよ」学が遺した言葉を、誠治が継ぐ。そうすることでマルコスは絶望から抜け出し、息子を失った誠治の心も少しずつ癒されてゆくのだろう。
残念!後半失速、沸き起こる感情がバラバラになって上手く繋がらない~
正月もアッという間に過ぎ去って
最後の砦の如く3連休。
今日は 「ファミリア」 観ましたわ。
ちょっと TVCMが良い感じでやってたんで
気に成ってた次第。
観た結論から言うと、
前半は 流れ的には まあまあ良かったかな。
在日してるブラジル人の今の現状とか、思いは分かったかな。
後半の息子のアルジェリアの会社(海外プラント)が
反政府テロ組織に占拠される辺りから 全く流れがオカシクなって
感情がバラバラに・・・残念と感じました。
最後は 最初から薄々展開ネタに気づいてましたが、
半グレ輩に絡まれたブラジルカップルの2人が
神谷の弟子?的な感じで 息子夫婦の代わりに
成って行く~て話ですかね。
何処となく、”ドライブマイカ-”を意識してたんじゃねぇ?
て思われる所もあったりで。
その点が殆ど報われていない気がしますネ。
何処に感情の視点を持っていきたいのか、
色々急激に詰めたため
右往左往感あり惜しい限りです。
監督:成島出さん
脚本:いながききよたかさん
---CAST
神谷誠治(主人公、陶器職人):役所広司さん
神谷学(息子、プラントエンジニアで海外赴任):吉沢亮さん
ナディア(息子の嫁、会社の出会い):アリまらい果さん
マルコス(ケガした在日ブラジル人):サガエルカスさん
エリカ(マルコスの恋人):ワケドファジレさん
榎本海斗(在日ブラジル人に憎む半グレ長):MIYAVIさん
駒田隆(主人公の友人、刑事):佐藤浩市さん
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(何でかな~と思う点)ツッコミオンパレ-ドっすわ。
・息子の帰国、外人嫁の紹介。あと3か月でプラント完成したら
日本帰国で実家に戻り 親の稼業継ぐ~ 話。
陶芸家になる夢 ⇒ 父親反対。
在り来たりですよ。 わくわく感ゼロ。
挙句に 子供出来ました??
あんた(息子)現実観てもっとしっかりせにゃ いかんでしょ!
の思いが出ちゃう。
・子供出来た! 嬉しさのビデオ撮りの不思議。
スグ親に電話しないの? 何で録画。
しかも、亡くなってから 遺品のタブレットを
説明書見ながら操作の父。見事に一発で
子供が出来た~ビデオを再生する流れ。 有り得ないゾ!
・反政府組織がプラント占拠で、一早く 身代金要求?
これもあり得んな。日本企業の金目当て?ソコかよ。
父親が権利証売って 有りっ丈お金集めて約2千万円。
しかも何で外務省へ直で行くのかよ
馬鹿タレか。連絡位 最初に話するやろぉ。
お前の家族だけが不幸なのかよ。事件全体を考えろよ。
企業の保険金とか普通あるやろし、テロ対策の
プロの交渉あるでしょ。
勝手に人質をバンバン殺すアフォな犯人。
事件後 彼らがどうなったかも分らんぞ。
・在日朝鮮人の半グレ? MIYAVI様ですが
自分の子供、妻が ブラジル人酔っぱらいの車に
跳ねられて・・・何でそこまで執拗に暴力を。
しかも当の犯人は帰国して自殺して。
復讐のやり場を向けるのも ちょっと場当たり的かな。
(NHK紅白で、もっと前出てアピ-ル出来なかったのは残念っすわ)
・マルコスとエリカやけど、友人は川で溺れて殺されて、
マルコス自身は酷く殴られて殺されそうになって帰ってきて
その流れで いきなり団地の屋上で抱き合うかな?。
大きい毛布はどっから持ってきた??
新人さんやけどエリカの胸晒すの狙いの演出は
アカンのちゃうかな? それ在りきで撮ってるの?
二人の心の安心感を表現入れたかったかもやが
ココで使うのはレベル低いと思うわ。
・あと500万円で 何とかなる時に
息子がテロで亡くなった神谷の元へ 彼ら二人で行くけど
マジで 使う予定無くなった金を出すのかと思ったわ。
なぜ そこまで彼ら二人に してやれる?
ちょっとしたパーティ-にお礼で呼ばれた位で・・・と思う。
ココの説明と 深い関わりの感情表現が
著しく欠けている様に感じますね。
観ていて 浅い繋がりしか存在してない様に思う。
深さが無いのが残念。
・最後、半グレ集団の所へ行く、父 神谷。
ココの 初めての2人顔の引き合わせやけども
演出おかしいぞ。
もっと ビニ-ルシートまくって入ってきたら
”おっさん何や コラ~” とか言うやろ、普通。
丁寧な会釈的挨拶してへんかったかな。
ココへの入り方、集団と神谷の対峙始まりが
何か変に思えましたね。
・陶器職人として
もっと深い視点、神谷の焼き物に対しての目線が欲しいかな。
それがあんまり感じられない。
外人2人が神谷の焼き窯に惹きつけられる~
思いが もっともっと出ていたらと思う。
暴力事件視点じゃなく、違う視点の話流れで
まとめ上げた方が この作品の質は上向いたんではと
感じました。
興味ある方は、劇場へどうぞ。
つかみどころがない
難民移民受け入れ問題。差別問題。外国人犯罪、外国人移住者の問題などをりあるな人たちを使って、今実際にある問題を表しているのかと思ったが、なんか息子の外国での問題とか、半グレの家族の問題とか、何か定まらずにボヤッとした感じで終わってしまった感。何の前知識もなく見たが、んーって感じ。でした。役者は良かった。シナリオの問題。
東京国際映画祭で見損ねたがWOWOWで放送とあって楽しみにしていた...
東京国際映画祭で見損ねたがWOWOWで放送とあって楽しみにしていたのだが、期待には遠く及ばなかった。
役所さんはやはり良い俳優であるし、在日ブラジル人の話らしくリアルかはわからないが、ハーフ系の俳優が多数出演し、演技も非常に良かった。窯焼きがそんなにも大変なことだということもわかり良かった。
しかし、激しくないとはいえPG12よりR指定だろうと思うシーンもあり、そこは甘いと思った。
吉沢さんはやつれ感は出ていたが、陰キャな役はよくはまるのに対し、今回の役ではこんなに下手だったかと驚いてしまった。大げさで相手役のアルジェリア人役の女優との演技は恋愛感情があるように感じず、冷めてしまった。
孤独のグルメがはまり役の松重さんも以前他の作品での強面役はしっかりはまっていたのに対し、今回は上っ面な感じがしてしまった。
逆に意外にも俳優ではないMIYAVIさんが上手く1番良かったように感じた。
この話はどこまでリアルに近づけたかはわからない。出稼ぎに来て、郷に入っては郷に従わないブラジル人と簡単かはわからないが切りやすい外国人労働者を切る企業とそこに端を発する問題と心の交流を描いているのだが、治安の悪い地域にありがちな内容とも言えるし、アメリカのギャングを日本版にしたとも言える感じ。正直、こういう人達がいる地域に住んでいないため反社映画のそれなのかこれに近い現状があるからなのかわからないが、日本を舞台にしては無理があるような感じもする。フィクションにしては現実にあるであろう社会問題を軽く混ぜすぎているように感じる。
気持ちはわかるが、息子があんな状況で他の問題にまで関われるのか?逆に冷静になって関われるのか?この辺りも想像しがたい。
リアルさをどこまでするかについてではあるが、川のシーンはやり過ぎで見ていて俳優の心配をしてしまって内容に集中出来なかった。
役所さんがすごいのに、なんか惜しいなあ。
在日ブラジル人たちの苦難を描いた作品。前半から最後まで、暗く、重苦しい
雰囲気に包まれた映画だと感じました。
悪い予感でいっぱいというか、役所さんがああいう行動を取るということは
中盤あたりで読めましたね(笑)。最後は、ホッとする終わり方でしたが、
あまりいい気分になれる映画ではないですね。リアルを追求するなら、
息子のサイドストーリーみたいなものは不要じゃないかな。テーマがボケるし、
息子一家、おまけに生まれようとしてた孫まで失って、他人を助けようなんて
気持ちになるのだろうか? 半グレのボスの動機もそうだが、少し作りすぎな
気がしました。役所さんの演技は、いうまでもなく満点ですけどね。刺されてる時の
笑顔がすごい!
在日外国人は意外と大変
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とある団地に、何千人もの在日ブラジル人が住んでた。
そのうち1人の若者が、半グレグループの金を盗んで追われる。
それを助けようとしたマルコスらも目をつけられる。
で追われてる時に偶然、陶器職人の役所の所へ逃げ込む。
その縁で役所らとマルコスらの交流が始まる。
半グレのボスの青髪は、ブラジル人に事故で家族を殺されてた。
それでブラジル人全体を憎んでたのだった。
こうしてマルコスらに500万円を代わりに賠償するよう強要。
で覚せい剤を渡して売りさばかせようとする。
でないとマルコスの彼女をシャブ漬けにして売るとか脅す。
70万をかき集めて持って行った仲間は青髪らに殺される。
もちろん最初に金を盗んだ者も殺されてた。
マルコスは青髪を殺そうとするが失敗、逆にボコられる。
役所には警察官の友人がいて、青髪が釈放となったことを知る。
巧みに証拠を消したり正当防衛を主張するためだった。
役所は青髪の手下の赤髪をボコにして青髪が主犯と供述させる。
その音声を持って青髪のもとへ。キレた青髪に刺される。
それは役所の計算通りだった。役所は青髪に抱き着いて拘束。
そこへ警察が踏み込んで、青髪はついに現行犯で逮捕される。
この行動を起こす直前、役所は息子を失っていた。
アルジェリア勤務中に、テロに巻き込まれたのだった。
その失意もあって、刺し違えるような行動に出たのだろう。
1年後、マルクスらは平穏を取り戻し、お礼に来る。
そして役所の技術を継ぎたいような話をして来た。
こうして弟子のような形で教えて行くことになるのだろう。
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普段あまり考えないけど、在日外国人って大変なんやな。
マルコスの父がリーダーとなって仲間と共に日本に来た。
当時は3年働けば家が買えるって信じられてたそうな。
でもリーマンショックでみんな仕事をクビになりまくり。
責任を感じた父親は自殺、という過去があった。
なのでマルコスは日本人をどこか好きになれずにいた。
青髪が上述の通りブラジル人を憎んでたのと似たパターン。
まあどちらも大袈裟というか、何かピンと来んけどな。
個人を憎んでも、民族全体まで憎むものなのか・・・。
半グレに苦しめられながらも、警察には言えないらしい。
何故なら強制送還されるから。それより今の方がマシなのか??
景気が悪くなると最初に首になるし、ホンマに大変やな。
まあマルクスらは不器用で無愛想な部分こそあるが、
根がすごく真面目やから応援したくなる。
でも実際にはそうでない在日外国人も多いんやろけどな。
あとちょっとシナリオに雑さを感じたかな。
何故マルコスの仲間は平気で青髪に殺されてるのに、
マルコスは青髪を殺すのに失敗してもボコられで済むの?
あと高齢の役所が強過ぎ。チンピラの赤髪をボコにするw
ナンボ赤髪が酔ってたからって、ほぼタイマンで勝利!
それに青髪に刺されるシーンも、さすがに都合よくないか?
警察の来るタイミングが絶妙過ぎるんよな。
あれってつまり刺されたタイミングを狙って来たわけやろ?
民間人を使ったオトリ捜査もいいところよな。
しかも青髪だけが襲って来たから良かったけど、
横にいた10人くらいの仲間がふつーは手出しするよね??
まあこれはダメ出ししてるわけじゃないけどね。
そういう穴を見つけるのを楽しんでるだけなんで。
色々考えさせられる、いい映画やったと思うよ。
はじめに感じた違和感!しかしラストではしっかりと感動していた!
その感動の本質は何だったのだろう?
陶芸家の神谷誠治(役所広司)のラストの身体を張った行為。
ブラジル移民を目の敵にして私怨を晴らす榎本海斗(MIYAVI)を、
ほとんど単独行動で逮捕に至る・・・
ほとんどデンゼル・ワシントンの「イコライザー」ではないか?
まぁデンゼルほど暴力的ではないし不死身でもない。
神谷はブラジル移民のマルコス(サガルエルカス)と恋人のエリカ
(ワケドファジレ)たちにとっては、正真正銘のヒーローだ‼️
この映画のテーマは大きい。
俳優もオーディションで選ばれた南米人。
言葉は日本語、英語と、ポルトガル語の3ヶ国語が飛び交う。
誠治がハングレ集団のリンチからマルコスを助けて治療したことから、
ブラジル移民のコミュニティと親しくなる。
その話しが一つ。
もう一つは商社員でアルジェリアのプラントで働く神谷の
息子・学(吉沢亮)。
彼が難民出身の妻・ナディア(アリまらい果)を伴って帰国する。
そして学は仕事を辞めて陶芸の仕事を継ぐというのだった。
その申し出を断る誠治。
そして再度アルジェリアに帰った学とナディアは、武装テロ組織により
占拠されたプラントで人質として殺される・・・
神谷は息子と恋人と嫁、更に後で知るもうひとつの命も失ってしまうのだ。
榎本(MIYAVI)の私怨には同情せざる得なかった。
ブラジル人の運転するバスに妻子を殺された。
運転手はベロベロに酔っていた。
強制送還された運転手を探しにブラジルに行った榎本。
運転手は既に死亡していた。
榎本のやり場の無い怒りはブラジル移民全体に向けられる。
(これは間違っているのは明らかだ)
そしてまた一方で政府の努力も虚しく、
学とナディアを人質として殺されてしまった神谷も
怒りのやり場がない。
その無念が榎本のような怪物への怒りに転嫁し、
ブラジル人を助けようと思う動機づけとなったのか。
榎本のお門違いの復讐は更にエスカレートして、
被害者が増えて行く後半は怒涛の展開で、目が離せず、
神谷が乗り出すラストはテンポが更に加速して行く。
それにしても警察(神谷の養護施設の友人の佐藤浩市は警察官)の
ハングレ集団への無力は何なんだろう?
ブラジル人だから本腰を入れて捜査しない。
自国民でないから?・・それはあると思う。
外国人労働者を取囲む様々な問題は簡単ではない。
ゴミの分別ひとつでも日本人町内会と対立したりする。
コミュニティが大きくなり人口が増えれば、その行動も悪目立ちして、
イギリスがユーロ離脱の際に問題化したように移民に仕事を奪われる
事態も起きてくる。
「ファミリア」という題名。
予告編で何度も言っている
《俺たち家族になるのだよ》
理想論に聞こえてならなかった。
入管施設で死亡したミャンマー女性の事件での職員の非情。
介護士を目指すフィリピン人やベトナム人に課する難し過ぎる資格試験。
技能修習生という名目で誘って恐ろしく安い賃金で働かせる。
個人個人の日本人の多くは善良で紳士的で優しい。
家族になってハーフを増やして更にクォーターも倍々増やして、
人種なんて意識しなくて良い社会。
隣に住むのは肌の色の違う人々。
それが普通になる程、血が混ざれば良い。
それが理想。
この映画もそんな理想の一つの方向を示しているのかも知れない。
性善説。おおらかさ。
きっとそれがこの映画の感動の理由だったのだと思います。
これがリアル…な訳ない!
焼き物職人の男。
アルジェリアで働き、難民の女性と国際結婚したその息子。
ひょんな事から彼らと交流を深めた在日ブラジル人の若者たち。
これだけなら国を越えた人と人の触れ合い。成島出監督は『草原の椅子』でも異文化との交流を描いていた。
が、スケールの大きい感動作かと思ったら…
在日ブラジル人たちを圧する半グレ集団。
アルジェリアに戻った息子夫婦を悲劇が襲う…。
思わぬバイオレンスやハードな展開、社会派問題に驚きを通り越して唖然…。
それらが巧みに描かれていたら良かったんだけど…。
在日ブラジル人コミュニティー。愛知県に実在する巨大団地だという。そんな所があるとは知らず、目から鱗。これに目を付けたのはいい。
言うまでもなく役所広司の名演。
オーディションで選ばれた在日ブラジル人キャスト。日本語が上手くてびっくり。
良かったのはそれくらい。
とにかくこの作品、何を描きたかったのか分からない。
焼き物職人の男の下に国際結婚した息子が報告の為に帰国して来て、跡を継ぎたいと伝えるが、父親は断る…。この父子ドラマが主軸と思っていたら、違う。
アルジェリアに戻った息子夫婦はテロリストの人質になる。父親は外務省にまで出向いて直訴するも、息子夫婦は…。テロの恐怖。これを描きたかったのか…? 違う。
在日ブラジル人青年は男に亡き父親の面影を重ねる。焼き物を手伝わせて欲しいとお願いする。この国を越えた交流や焼き物文化こそがメインだろうと確信するも、そうでもなく。
半グレ集団は在日ブラジル人たちを虫ケラ同然の扱い。半グレ集団って怖い。在日ブラジル人たちを守る為、男は…。ここが見せ場…いやいや、突飛な展開にもはや失笑レベル。
一応この作品、国や境遇を越えて“家族”になろうとする…という触れ込みだが、そこにテロや半グレ集団など本当に描く必要あったのか疑問の要素を織り込んだ事で、詰め込み過ぎと言うより、焦点がボヤけてしまっている。ズバリ言うと、とっちらかっている。
在日ブラジル人たちの知られざる現状、国際問題であるテロ…国内外のリアルを訴えたかったのだろうが、展開や描写など非現実的。
在日外国人の現状を描いた作品では在日クルド人を描いた『マイスモールランド』があったが、あちらはあまりにも不条理な現状を胸が痛いほど描いていたのに、こちらは生きる為に犯罪に関わってしまう…など、一見同情的に描いているようで、非常に安直的。当の在日ブラジル人たちが見たらどう思うか。もしこれが現状と言うなら、それこそが差別的だ。
半グレ集団も酷い。まあ、そもそもが真っ当な輩ではないが、差別を助長するような問題レベル。
そのリーダーが在日ブラジル人たちを忌み嫌う理由はあるが、悲劇的ではあるが、同情までには至らない。たまったもんじゃない。
在日ブラジル人たちを守る為、文字通り身体を張った男。『グラン・トリノ』な展開みたいだが、全く足元にも及ばず。って言うか、無謀過ぎ。
それから言うまでもなく、多くの方が突っ込んでいる屋上ラブシーンが…。
駄作とまでは言わないが、凡作と言うか、せっかくの題材やキャストが勿体ない。惜しい。色々と残念。
リアルに描いているようで、リアリティーがなさ過ぎる。
これがリアル…?
な訳ない!
本当に、何を描きたかったんだか…。
役所広司繋がりで、ちょっとこの場を借りて。
詳しくはその作品を見た時に書くとして、一言だけ。
おめでとうございます!
いいさじ加減
キノフィルムズの映画といえば、軽妙なコメディ作品が多いが、珍しく性的描写や暴力的場面も盛り込まれたのが本作。ただ、過激というほどでもなく、嫌悪感を抱かせるほどではない。
むしろ、興行的側面を考え、ゴリゴリのメッセージムービーの要素を薄めるために織り交ぜた感じ。
後半部分になって、息子夫婦を国際テロリストに拘束された主人公(役所広司)が首相官邸に全財産を携えて乗り込んだり、それを義兄姉が一緒になって後押ししたり、主人公が自分を慕うブラジル人青年を追い込む半グレ集団のアジトに単身乗り込んだりとか、荒唐無稽に思える場面もあるが、これもエンタメ的側面と捉えれば許容範囲。
陶器作りのシーンを丹念に描いているのも好印象。
冒頭に登場する窯から立ち上がる炎の柱も、登場人物たち各々の熱い想いを象徴しているようでいい。
親子や人種、はたまた国際問題など色々なテーマを盛り込み過ぎてまとまりを欠いているという見方も出来るが、テンポの抑揚のつけ方が良く、うまく中和出来ている。
個人的には、MIYAVIの蹴りがヤクザキックじゃないスマートな感じでイメージを壊さず良かったかな。
まあまあだった
退屈ではないのだけど、いろいろな要素を粘土の菊練りのようにこねくり回して無理矢理くっつけたような感じがする。警察が友達だったらちゃんと話してなんとかしてもらえよと思うし、MIYAVIがかつてないほどしょぼい役だ。
家族というより、ヤクザがメインになっちゃったねぇ…
まず感想としては「もっと時間を伸ばしてもいいのでは?」ということ。
映画として90分という平均的な尺の中で何を伝えたいのか。「ファミリア」という名前負けしないものか。
父は陶芸に惹かれ、悪い意味で盲目だった。
息子は多国籍の女性と結婚し、お腹の子と共に殺された。
知り合ったブラジル人の方々は、家族を持ちながらも過酷過ぎる環境に身を置かれた。
そしてヤクザ。何があってもバックにヤクザ。
とあるブラジル国籍のグループがヤクザに殺され、殺されかける展開を軸に進んでいき、「家族とは何か」を問う物語。
…なんだけど、暴力シーンが目立ち過ぎて他が霞むんだよなぁ。勿体無さ過ぎた。
お父さんは息子を愛し、身を追われるマルコス君とその恋人の身を案じる聖人…とは言えないかもしれないが、少なくとも正義感は強い。
マルコス君達も何とか金を稼ぎ、謝罪をしながら必死に藻掻くも、皆様御想像通りのヤクザですよえぇ。
普通にシャブとお酒の嵐。タイトル通り、むしろこっちがメインになっちゃったね。想像するヤクザの恐怖感・支配力をメインにしちゃった影響で、もっと描けたものが描けていない。
例えば。
お父さんに関しては、陶器を通して失った奥さんとの思い出。
息子さん夫婦は、奥さんのバックボーンを描き、息子さんとの出会いを通して「この人となら…」と思えた経緯。
マルコス君とそのお仲間さんは終始、ヤクザに蹴られ殴られ果にはワイン瓶でぶん殴られ…。
そこじゃないよね?
「ヤクザの恐怖」を伝えるんじゃなくて、「家族とは何か」を伝えたいんじゃないの?
若頭君も「ブラジル人に大事な人を殺された」ってだけの描写。だから単にブラジル人に八つ当たりして行き場の無さを出しているとしか言えない。
全体的に失ったものが多いのに、バックボーンが余りに描けていない所為で、如何しても暴力シーンが目立つ。
この映画の記事を見る感じ、「あーマルコス君って子が陶器に惹かれていきながら、その生い立ちに迫り、お父さんの過去も掘り下げるのかな?」と期待したんだけどなぁ…。
因みに上の事は最後にチョロっと描写されて終わります。
…なんてこった、それじゃ意味ないじゃないか!
ちょっとお手伝いしただけになってるぞ!いいのか!!
もっと尺伸ばすかヤクザのシーンカットでいいよ…家族じゃなくて、八つ当たりとその一味達何よ…。
あーあとモザイク無しでセックスシーンあったね。
女性の乳房バリバリ映るし、「あっれ規制あったか?」と思ったね。
僕が目を背けたのは人差し指が曲がっちゃいけない方に曲がったシーン。
お父さんGJ。でも突撃シーンはあっさり過ぎたよ。
やっぱり背景が足りないからかな。
んー、アバターもそうだけど家族のシーンを描くのは大変なのもなぁ。
今回はタイトル負けした内容だったので下げたけど、演出は素晴らしかった。
無駄に音響に頼らず、自然な描写で収められていたと思う
CRY BABY
成島監督の前作「いのちの停車場」がかなり苦手で、今作も少しだけ観るかどうか迷ったんですが、観たい時間帯に丁度あったので鑑賞。
良いところはとてもあったんですが、やはりこの監督の作品苦手だなというのも同時にあった作品でした。
役者陣は素晴らしかったです。役所さんを筆頭に魂のぶつけ合いが展開され、それに応えるように後半はますます加速していく、怒鳴り声も暴力も、哀愁も優しさも全部が濃密でした。
ただどうにも中盤のテロに学が巻き込まれてから、規模が大きくなりすぎているというか、綺麗事にしてしまっているなという印象を強く受けました。暴力に最終的にしてしまうのも物語の根本から逃げているようにも思えましたし、どの展開も唐突かつ泣かせにかかっているような演出も引っ掛かりました。映画としての完成を目指したが故に、そこが冗長にも思えてしまいました。
日本人と外国人との接し方について強く考えさせられましたし、家族としてのあり方もまた考えされる作品でした。手がける人が違えばな…と少しモヤモヤしましたが、良い作品でした。
鑑賞日 1/13
鑑賞時間 18:45〜20:55
座席 G-4
多様性だと思っていたら・・・悲しすぎる。
孤児院育ちで陶芸家の誠治、優秀でアルジェリアのプラントで働く学、現地で知り合った妻ナディア、
妻子を酔っ払い運転の事故で亡くした半グレの地元有力者息子、
底辺の生活をする在日ブラジル人たち、
生まれ、国籍、見た目、考え方、全然違うがそれぞれが支え合い、憎しみ合い、同じ町で暮らす。
途中までは多様性がテーマかなと思いながら見ていた。
全然違った。
まさに「グラントリノ」の老人のような結末にびっくりした。
ブラジル人に殺されたとしても、目の前のブラジル人が殺したわけではない。やみくもにブラジル人に危害を加えるのは人してはいただけない。
嫁子を殺された思いと、プラントで武装勢力に襲われて亡くなった息子夫婦(+お腹の子)を殺された思いは相通ずる。でもその生き方は正反対。そこがこの作品のポイントなのかなーと思った。
愛知県の山間部の街。 ここにはブラジルからの移民が多数暮らしている...
愛知県の山間部の街。
ここにはブラジルからの移民が多数暮らしている。
駅前の商店では、ブラジル人客と日本人商店主がにこやかに喋っている。
が、それは街の一面。
ブラジル人たちは非正規雇用で、雇用の調整弁でしかない。
憂さ晴らしに集まるクラブは、彼らの熱気がムンムン。
そんな中、ひとりのブラジル人青年が、日本人の半グレグループに襲われた。
ブラジル人青年は、彼らの売上金500万円を持ち逃げしたのだった・・・
といったところから始まる物語で、心温まるヒューマンドラマを期待した身としては、ノッケから「えええ」。
ひと昔前の東映映画みたいだ。
一方、焼き物職人としてひとりで山里に暮らす誠治(役所広司)。
若い頃に妻と死別、ひとり息子の学(吉沢亮)はアルジェリアで大型プラントの建設に携わっている。
誠治にとっては自慢の息子である。
そんな学が久しぶりに帰国する。
学は現地で知り合った娘・ナディアと結婚したのだ。
その結婚休暇としての一時帰国だった・・・
ブラジル人側と誠治側とは接点はないが、先の現金持ち逃げ青年をかばったことで半グレグループに狙われることになった青年マルコスが偶然、誠治のもとに逃げ込んできたことから、接点ができ・・・
と展開するが、どことなく最近のクリント・イーストウッド作品(『グラン・トリノ』『クライ・マッチョ』)に似た雰囲気。
まぁ悪くはないのだけれど、半グレグループの暴力描写がすさまじく、かつ、どことなく古く臭い雰囲気も漂わせているので、ちょっと観ていて困ってしまう。
そうこうするうちに学はナディアとともに再びアルジェリアへ旅立ち、現地で反政府組織のテロに巻き込まれてしまう・・・
うーむ、間口広げすぎだな。
が、世界は暴力で満ち溢れている。
そういうこと。
そういうことなんだろう。
一般市民は暴力世界に近づきたくないが、なんだかんだといっても巻き込まれてしまう可能性もある。
いやぁコワイコワイ。
国籍・文化を超えてのグローバル世界は、暴力と平和の壁も容易く越えてしまうのかもしれません。
終幕は誠治が身を呈してマルコスを助けるというもの。
ここはほとんどイーストウッドだねぇ。
というわけで、観る前に期待していたのとは全然別テイストの作品でした。
まるっきりツマラナイわけではないのだけれど、盛り込み過ぎで、とっ散らかったままになった感がありました。
ファンタジーとして興味深い
予告編から、現代日本の地方都市でのブラジル移民たちの葛藤と共生を描く作品かと想像していたら、シリアスなヒューマンドラマに寄せたファンタジーだった。外国映画ならこういう立て付けに抵抗ないが、日本語で日本を舞台にやられると、現実との差異が目について最初は違和感がある。頭を切り替えてからは、(ツッコミもしつつ)話に集中できた。
うまい演者たちに助けられて、喪失と再生というストーリーの核は分かりやすい(役所広司はどういう役でも説得力がある)。マルコスとその家族の生き様にももう少しフォーカスされるとよかった。
個別のエピソードの強引さ(半グレ殺しすぎとか警察無能とか)はそういうものと割り切れたが、息子夫婦の使い捨て感は映画のラストを導き出すためにシナリオの犠牲にされたようで残念だった。
映画はフィクションでも、背景にある外国人移民の社会的包摂の問題、特に初期の日系人コミュニティが世代が変わっても取り残されたままである点が否応なしに想起される。憧れの地だった時代から30年たってもビジョンがないままのこの国のあり様を考えさせられる。
ポンデケージョ(ブラジルのチーズパン)が食べたくなる映画?
テーマが大きいです。しかも移民、紛争、親子と三つも。
素晴らしい役者さんたち、すごいテーマとちょっと欲張ったのかと思いました。
でもすごく良かったと言っている方もいるので個人の好みかもしれません。
ルイは良いヤツ
生きようと必死だとはいえ、マルコスを擁護できないため、のめり込めなかった。
序盤のみならず、終盤にも相談にきた(?)側なのにいきなり暴言吐くし。
また、半グレとはいえお金を盗んだマノエルがきっかけを与えたのは事実。
リーマンショックでの雇い止めも、平気で切り捨てた人ばかりではないハズで。
何でもかんでも「日本人が悪い」と被害者面する描き方をされていて印象がよくない。
日本人を恨む姿勢も、ブラジル人に憎しみをぶつける海斗と何も変わらない。
(もちろん一番悪いのは海斗たちだが)
演技面では初挑戦の多いブラジル人たち含めて良かった。
難があるとすれば、役所広司が学のない人間に見えないことくらい。笑
終盤の神谷家に降りかかる悲劇には、心が重くなった。
従順だったルイが殺され、牙を剥いたマルコスが生きてるのは違和感アリ。
あんな録音じゃ証拠にならないし、誠治の危険すぎる行動を隆が許すのも不自然。
半グレとの部分はそういった穴も多く、だったら労働環境の軋轢とかの方が、地味ではあるが好みだったかも。
(ワケドファジレさんは某TV番組で拝見してたので、「これ親父さん激怒するだろ」と気が気でありませんでした)
まさかの。
心暖まるヒューマンドラマかと思っていたら、途中からあれ、仕返しいくんだ、昔のヤクザ映画(足を洗った元ヤクザの主人公が耐えに耐えた末に愛するもののために立ち上がる)か。
そしてまさかのグラントリノ。
移民がこれほど多くなっている今、こういった作品がもっと作られて然るべき。(昨年はマイスモールランドという作品がありました)
ブラジル人のパーティに呼んでもらいたいなぁ。
もっとお互いに知り合うことができればうまく共生していくことができるだろう。
若い2人のラブシーンやエリカの裸は必要だった?
あれこそ差別になってないのかな。
胸に響くような台詞は全部予告で見せてるのが残念。
売り方も間違ってるんじゃないかと思った。
【”怒りは怒りを来す。だが、そこからは何も生まれない。”紛争、在日外国人の雇用問題など、現代社会では喫緊の重いテーマを扱いながら、骨太なヒューマンドラマに仕立て上げた成島監督の手腕に唸った作品。】
ー この作品の舞台は豊田市であり、保丘団地と劇中で表現されたのは、保見団地であろう。
1980年頃から自動車関連企業が多い豊田市で、出稼ぎに来たブラジルの方々の割合が増え、一時は治安が悪くなった時期もあるそうだが、今では治安も落ち着き、自動車関連企業を支えて頂いてくれている。
隣市に居住するモノとして、敢えて、一言記す。ー
◆感想
・矢張り、主人公の陶器職人誠治を演じた、役所広司さんの存在感は凄いと思った作品である。
ー 序盤、彼が若かった時は、とんでもない暴れん坊だったと、隣人が語るシーンがあるが、後半この何気ない言葉が効いてくる。-
・アルジェリアのプラントで働く、自慢の息子、学(吉沢亮)が、アルジェリア内戦と思われる戦禍により両親を失った難民だったナディアを連れて一時帰国するシーン。
ー 誠治は、電話で聞いた時は驚いたようだが、彼がナディアの接し方が、とても良い。この人はだ人種が違えど、大切な息子が選んだ人を温かく迎える器の大きな人間なんだな、と思った。
そしてナディアを”とんでもない、地獄を経験した人なのに・・。”と愛おしそうに見る表情。
ココも、後半の誠治の後半の行動を示唆している。-
・半グレの榎本カイト(MIYAVI:こういう役を演じさせたら、抜群である。)が率いる、愚かしき若者達が、保丘団地に住むブラジル人の夢なき若者のマルコスやその仲間に執拗に、絡んで来るシーン。
ー だが、それには理由があり、カイトは大切な幼き愛娘を酔っ払ったブラジル人の運転する車で引き殺されていた事が分かって来る。彼は、ピンクの小さな水筒を常に大事そうに持っている。彼も又、ファミリーを壊された哀しき男なのである。だが、”怒りは怒りを来すでは、本質的な解決にはならない・・。”-
・そんなカイトたちから逃げて来たマルコスを誠治は、匿い、彼により壊された車のバンパーを見ても、”良いから・・。”と言って濡れた服の代わりに、代わりの服を差し出すシーン。
ー ここも、誠治と学の寛容な思想が垣間見える。-
・カイトのガールフレンドで、バーで働くエリカが翌日、洗った服と、修理代を持って謝りに来るシーンも然りである。
で、誠治と学はエリカたちが団地で催す、パーティに誘われる。
ー だが、マルコスはエリカに促され、少し頭を下げただけで、素っ気ない。話をしていくうちにマルコスの父が、ジャパニーズドリームを夢見て、友人達とやって来たが、リーマンショックにより次々と友人達が解雇され、団地の屋上から飛び降りた事を知る二人。私自身も当時の嫌な想い出が過ってしまったシーンである。
マルコスは”夢はない”と学に告げるが、学は”夢を持つことは大切だよ”と笑顔で返す。-
・学とナディアは、再びアルジェリアに戻るが、武装勢力に襲われ命を落としてしまう。
ー この辺りの、外務省の官僚の素っ気ない対応には、腹が立ったなあ。
何が”救出に向け、鋭意努力をしています、だ!”
10年前に実際に起きた日本企業のアルジェリア石油プラントへのテロ事件を思い出してしまうシーンである・・。
深い悲しみに暮れる誠治に、同じくアルジェリアに赴任していた同僚が訪れ、”彼のお陰で助かったのです。”と言い、生前、学が残していた自身へのメッセージ”俺、父親になるんだよ!”
このシーンは、沁みた。涙に暮れる誠治が敢然と、カイトたちに対し、取った行動。ー
■これは、私の勝手な解釈だが、誠治は亡き学とナディアを、追い詰められているマルコスとエリカとだぶらせたのではないかと思った。
そして、学とナディアを守れなかった自分が命を張ってでも、マルコスとエリカを救わなければ、と思ったのではないだろうか。
<誠治の決死の行動で助けられた、マルコスとエリカが誠治の土窯を訪ねて来るシーンもとても良い。
そして、マルコスは明るい表情で、亡き学が言っていたように”釜の仕事をやらせて下さい。”と深々と誠治に頭を下げるのである。
今作は、紛争、在日外国人の雇用問題など重いテーマを扱いながら、骨太なヒューマンドラマに仕立て上げた成島監督の手腕が冴えわたる作品である。>
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