ファミリアのレビュー・感想・評価
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やわらかい光を感じた作品
今更だが、役所広司という人はすごい俳優だ。彼がスクリーンの中に一人佇んでいるだけで何かを語っているように見える。この作品ではそんな風に思うシーンがいくつかあった。それがもし監督の意図しているカットだとしたら素晴らしい。
この映画はもしかしたら見る人によっては、あまり身近な題材ではないかもしれない。でも、随所にインパクトのある役者さんが出てきて、見ごたえというより、共感できるような作品に出来上がっている。多分低予算じゃないかな?と感じるのだが、弱い立場の人にやわらかい光をあてるような、良い作品でした。
とにかく役所さんと吉沢さんが素晴らしい
役所さんが流石という演技力で、自然と感情移入させられました。吉沢さんも子供役としてしっかり応えており、ファミリアというタイトルにあった親子愛を表現していた。
一方ブラジルの部分、アルジェリアの部分は微妙。
もう少し現実的に沿った方が良かったのでは?
中弛みまでは行かないが少し冷めたところがあった。
しかし全体的には流れもよく、見やすかった。
多様性だと思っていたら・・・悲しすぎる。
孤児院育ちで陶芸家の誠治、優秀でアルジェリアのプラントで働く学、現地で知り合った妻ナディア、
妻子を酔っ払い運転の事故で亡くした半グレの地元有力者息子、
底辺の生活をする在日ブラジル人たち、
生まれ、国籍、見た目、考え方、全然違うがそれぞれが支え合い、憎しみ合い、同じ町で暮らす。
途中までは多様性がテーマかなと思いながら見ていた。
全然違った。
まさに「グラントリノ」の老人のような結末にびっくりした。
ブラジル人に殺されたとしても、目の前のブラジル人が殺したわけではない。やみくもにブラジル人に危害を加えるのは人してはいただけない。
嫁子を殺された思いと、プラントで武装勢力に襲われて亡くなった息子夫婦(+お腹の子)を殺された思いは相通ずる。でもその生き方は正反対。そこがこの作品のポイントなのかなーと思った。
なんだよ これ 役所広司に謝れ
名優役所広司の作品にハズレなし… だったけどね それを監督や他の演者がだらしなくガッカリさせる。 壮大に風呂敷広げ過ぎたから雑で粗ばかり目立つ脚本と演出。
外国人やMIYAVIを含む半グレたちはエキストラ並みの下手な芝居。 ひどいな。
役所広司がいつも通り真摯に取り組んでいるのにそれを壊すだけの共演者たちは罪深い。
愛知県の山間部の街。 ここにはブラジルからの移民が多数暮らしている...
愛知県の山間部の街。
ここにはブラジルからの移民が多数暮らしている。
駅前の商店では、ブラジル人客と日本人商店主がにこやかに喋っている。
が、それは街の一面。
ブラジル人たちは非正規雇用で、雇用の調整弁でしかない。
憂さ晴らしに集まるクラブは、彼らの熱気がムンムン。
そんな中、ひとりのブラジル人青年が、日本人の半グレグループに襲われた。
ブラジル人青年は、彼らの売上金500万円を持ち逃げしたのだった・・・
といったところから始まる物語で、心温まるヒューマンドラマを期待した身としては、ノッケから「えええ」。
ひと昔前の東映映画みたいだ。
一方、焼き物職人としてひとりで山里に暮らす誠治(役所広司)。
若い頃に妻と死別、ひとり息子の学(吉沢亮)はアルジェリアで大型プラントの建設に携わっている。
誠治にとっては自慢の息子である。
そんな学が久しぶりに帰国する。
学は現地で知り合った娘・ナディアと結婚したのだ。
その結婚休暇としての一時帰国だった・・・
ブラジル人側と誠治側とは接点はないが、先の現金持ち逃げ青年をかばったことで半グレグループに狙われることになった青年マルコスが偶然、誠治のもとに逃げ込んできたことから、接点ができ・・・
と展開するが、どことなく最近のクリント・イーストウッド作品(『グラン・トリノ』『クライ・マッチョ』)に似た雰囲気。
まぁ悪くはないのだけれど、半グレグループの暴力描写がすさまじく、かつ、どことなく古く臭い雰囲気も漂わせているので、ちょっと観ていて困ってしまう。
そうこうするうちに学はナディアとともに再びアルジェリアへ旅立ち、現地で反政府組織のテロに巻き込まれてしまう・・・
うーむ、間口広げすぎだな。
が、世界は暴力で満ち溢れている。
そういうこと。
そういうことなんだろう。
一般市民は暴力世界に近づきたくないが、なんだかんだといっても巻き込まれてしまう可能性もある。
いやぁコワイコワイ。
国籍・文化を超えてのグローバル世界は、暴力と平和の壁も容易く越えてしまうのかもしれません。
終幕は誠治が身を呈してマルコスを助けるというもの。
ここはほとんどイーストウッドだねぇ。
というわけで、観る前に期待していたのとは全然別テイストの作品でした。
まるっきりツマラナイわけではないのだけれど、盛り込み過ぎで、とっ散らかったままになった感がありました。
ファンタジーとして興味深い
予告編から、現代日本の地方都市でのブラジル移民たちの葛藤と共生を描く作品かと想像していたら、シリアスなヒューマンドラマに寄せたファンタジーだった。外国映画ならこういう立て付けに抵抗ないが、日本語で日本を舞台にやられると、現実との差異が目について最初は違和感がある。頭を切り替えてからは、(ツッコミもしつつ)話に集中できた。
うまい演者たちに助けられて、喪失と再生というストーリーの核は分かりやすい(役所広司はどういう役でも説得力がある)。マルコスとその家族の生き様にももう少しフォーカスされるとよかった。
個別のエピソードの強引さ(半グレ殺しすぎとか警察無能とか)はそういうものと割り切れたが、息子夫婦の使い捨て感は映画のラストを導き出すためにシナリオの犠牲にされたようで残念だった。
映画はフィクションでも、背景にある外国人移民の社会的包摂の問題、特に初期の日系人コミュニティが世代が変わっても取り残されたままである点が否応なしに想起される。憧れの地だった時代から30年たってもビジョンがないままのこの国のあり様を考えさせられる。
鑑賞後は温かい気持ちに
この映画を観て、「遠くの親戚より近くの他人」という言葉を連想しました。コミュニティが違うと排除しがちですが、共に生活圏を共有する共同体として、ある意味ファミリアなのだということに気付きました。映画には色々なメッセージが込められており、見る人によって様々な受け取り方があると思います。角度を変えて何度か観てみたい映画です。
まぁ良い映画だが
題材も良く、シナリオも理にかなっているのだが、普通の映画。グラン・トリノのパクリなのかは分からないが日本であのオチはないだろう。シャブ製造してるなら警察踏み込めばいいだろうって思う。
この題材をやるのであればもう少し人種問題をやったほうがいいと思う。
消化不良の感じが。
役所広司の演技はいつもながら脱帽。
ウ~ンって感じ。
さすがは役所広司さん、どんな映画もすべて重厚にまとめる演技力、深い言葉
国際的観点からの家族の絆をテーマにした新しい物語。
最初から最後まで悲しい展開で物語が進められているところは自分はあまり好きな構成ではなかったかな。また勧善懲悪を求める自分にはスッキリしない内容。
でもさすがは役所広司さん、どんな映画もすべて重厚にまとめる演技力、深い言葉、素晴らしい。
全体としては質も高く感動的でした
まさにタイトルを主題としてダイナミックに展開していく良作だったように思います。グローバルな時代を反映したストーリーと、混迷の時代を共に生きていくための希望みたいなものを感じられて、感動的だったと思います。
分かりやすくて見やすかったのですが、あまりに短絡的なところが目に付いた印象です。名優・役所さんを見ているだけでもいいというのは分かるのですが、あそこまで絶対的かつ主観的な思いを作品の核にしなくても・・・とも思いました。
設定がかなり複雑に絡み合っていたので、演出やストーリーはシンプルにしたということなのでしょう。そこをシンプルにしたぶん、映像や音響に拘ったと─、よく捉えるとそんな印象─、誠に勝手ながら・・・。
人の縁(えん)の不思議は感じたけど、「家族」ってとこまでは…
家庭を知らず施設で育った誠治は
妻となる明子と出会ったことで
家族を持ち、陶器職人の道を歩むことになる
両親を内乱で殺され
難民キャンプで成長したナディアは
そんな誠治のひとり息子学(まなぶ)と
アルジェリアで出会い、妻となる
半グレグループに追われ
たまたま誠治の家へ逃げ込んだ
ブラジル人のマルコスは
誠治に亡き父の面影を見て、慕うようになる
人の縁って不思議だ
1つの出逢いが、次の出逢いへと繋がっていく…
そして、「家族」になってくって話…?
もう少し、ここに深みがあってもよかった
役所広司の演技はさすが!
まさに、日本を代表する俳優だと思う
この人が演じたからこそ、
脚本のぎこちなさをあまり感じずにすんだのかも…
やっぱり終盤で誠治が、
いくら息子と重ねて見てたとしても
マルコスのためにあそこまでするのは
不自然に思えた
誠治親子とナディアの話と
在日ブラジル人労働者たちの話の
絡み方もなんか違和感
しっくりこない
…役所広司、バンザイ!な映画かな
ブラジル人コミュニティとの共生の話かと思ったらほぼ東映Vシネでした
愛知県の山間で独り陶器製作に勤しむ誠治の元にプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任中の息子、学が現地で知り合った婚約者ナディアを連れて一時帰国してきた。戦乱で家族を殺され天涯孤独だったナディアを幸せにしたい一心で学は会社を辞めて誠治と一緒に陶器製作をしたいと告げるが、厳しい現況を知る誠治は頑なに反対する。そんな折在日ブラジル人が多く住む団地では半グレグループによる嫌がらせが横行、友人を庇って追われたマルコスは夜中に誠治の車を盗んで逃亡しようとしたところ誠治と学に見つかってしまう。何かしらの事情があることを察した誠治らは彼を匿ったことからブラジル人コミュニティと繋がりを持つようになり、マルコスもまた陶器製作に興味を示すが半グレグループの嫌がらせは日に日に激しくなり・・・。
もっとブラジル寄りの話だと期待していましたがそこは全然薄味。よくよく考えたら成島出監督と役所広司は『シャブ極道』他の任侠映画を作っていたコンビなわけですから、家族モノのフリをした東映Vシネみたいなテイスト。そのダークサイドを一手に引き受けるのが半グレグループのリーダー榎本を演じるMIYAVIと暴力団組長青木を演じる松重豊。出番はさほど多くはないですが鋭い眼光だけで凶暴なキャラクターを作り上げています。Vシネ風味ゆえ客寄せパンダ的な立ち位置の吉沢亮の出番はイマイチリアリティがないので正直どうでも良く(あんなイケメンがプラントの食堂勤務の女性と婚約とかないでしょ)、やっぱり何といっても役所広司。実は暗い過去を持つ陶器職人というずっしり重い人物像を体現しています。誠治の幼馴染で定年間近の刑事駒田を演じているのがうらぶれたオッサンを演じる時にだけ存在感を発揮する佐藤浩市。全身の毛穴から吹き出す雑魚いアラカンの哀愁が他人事ではなくてゾッとしました。
外国労働者の皆さんに助けてもらう時代?
発展途上国から先進国に行けるのは憧れであり、今まで貧しかった分家族が暮らせるように出稼ぎに日本を選ぶ方は多い。しかし、様々な社会問題により雇用が減っています。心配されたくない、家族を楽にさせてあげたいという思いで異国の地で必死に生きています。外国労働者問題が一つ大きな社会課題になっております。学の行動は人種関係なく、すべての人が平等であると日々行動しております。学の行動を見て、父誠治の行動も変わり街のブラジリアン在留者たちを助けていきます。現在出稼ぎの外国労働者のほとんどは正社員以外の契約であり、アルバイトやフリーター、力仕事、工場で働いている方が多いです。差別なく、雇用を守ってあげることは極めて難しい。出会ったら、受け入れてあげる、助けてあげること。難しいかもしれませんが、日本の中小企業を救えるのは外国労働者たちかもしれません。今後は少子高齢化で彼らから助けを求める時代が来ます。自分が海外に行った際と置き換えて、人種関係なく接してあげましょう。
役所広司は勧善懲悪物語のヒーローでした
難民、移民問題について考えさせられる映画だと思って途中まで観てました。ところが息子夫婦がアルジェリアでテロに巻き込まれるというところから何やら雲行きが怪しくなり(焦点ボケるから止めようよ、そういうのは)、ブラジル人を差別し痛め付けるグループの親玉が、妻子をブラジル人の酔っぱらい運転で亡くした(同情するけど、その設定かい)という個人的理由だったとわかって興醒め。その親玉、金持ちのバカ息子っていうよくある設定でした。
ただの勧善懲悪のヒーロー物語、日本版グラン・トリノっていうから観に行ったんだが東映Vシネマでした。
役所広司が好きだからプラス0.5しました。
ポンデケージョ(ブラジルのチーズパン)が食べたくなる映画?
テーマが大きいです。しかも移民、紛争、親子と三つも。
素晴らしい役者さんたち、すごいテーマとちょっと欲張ったのかと思いました。
でもすごく良かったと言っている方もいるので個人の好みかもしれません。
懐かしのファミリア
80年代、とても多かったファミリア。映画はトヨタの中心だったけど、ファミリアはマツダ。カノジョの真っ赤なファミリアを傷つけたことでえらく怒られてしまった若かりし頃の記憶。結局カノジョとはファミリアになれなかった・・・
ブラジル人移民への復讐とかブラジル人の生活苦などを目にすると、かつては日本人が移民として渡ってたんだよな~石川達三の「蒼氓」を思い出したりして。サッカー留学する選手もいるよね…よく知らんけど。
家族を内戦で亡くしたナディア、家族を事故で亡くしたカイト、喪失感溢れる登場人物たちが多いけど、新しい家族を追い求めたり、諦めたりと、夢もそれぞれ。人種も性格の多様性もお互い認めなきゃ。
全体的に暗いトーンだったが、恋人や新しい家族への思いがひしひしと伝わってくる作品。重厚な人間関係の輻輳もブラジル人団地を中心に広がり、上下関係や因縁までもが観る者の心をわしづかみにするかのようだった。特に面白いのが父親が町の有力者である半グレの榎本海斗(MIYAVI)。彼に対しては定年間近の警察官(佐藤浩市)もヤクザの青木(松重豊)も手が出せないといったしがらみがある点。世捨て人的な神谷誠治(役所広司)の目線で見ると全てが見えてきそうな関係でもあった。テロに対する政府の対応も問題提起として興味深いところ。
さすがに終盤の展開には納得できなかった。ボイスレコーダーはいいとしても、あの場で血気盛んな部下たちが手を出すような気もするし、そうなると、海斗を捕まえるにはどう足掻いても無理・・・社会派作品よりも家族の絆を優先させたところが唯一の欠点ともとれる。
役所広司が素晴らしすぎる映画
もう少し穏やかな展開になるかと思っていたら最後までハラハラ。
役所広司さんが出ていたのもあってか、根底にあるテーマは「バベル」にも通ずるところがあるように感じた。
ブラジル人出演者はみなオーディションで選ばれたとどこかで読んだ気がしましたが、みなさん素晴らしかった。でも何と言っても役所広司さんが素晴らしい。世界に誇れる俳優ですね。それだけでも観る価値ありの映画。
ルイは良いヤツ
生きようと必死だとはいえ、マルコスを擁護できないため、のめり込めなかった。
序盤のみならず、終盤にも相談にきた(?)側なのにいきなり暴言吐くし。
また、半グレとはいえお金を盗んだマノエルがきっかけを与えたのは事実。
リーマンショックでの雇い止めも、平気で切り捨てた人ばかりではないハズで。
何でもかんでも「日本人が悪い」と被害者面する描き方をされていて印象がよくない。
日本人を恨む姿勢も、ブラジル人に憎しみをぶつける海斗と何も変わらない。
(もちろん一番悪いのは海斗たちだが)
演技面では初挑戦の多いブラジル人たち含めて良かった。
難があるとすれば、役所広司が学のない人間に見えないことくらい。笑
終盤の神谷家に降りかかる悲劇には、心が重くなった。
従順だったルイが殺され、牙を剥いたマルコスが生きてるのは違和感アリ。
あんな録音じゃ証拠にならないし、誠治の危険すぎる行動を隆が許すのも不自然。
半グレとの部分はそういった穴も多く、だったら労働環境の軋轢とかの方が、地味ではあるが好みだったかも。
(ワケドファジレさんは某TV番組で拝見してたので、「これ親父さん激怒するだろ」と気が気でありませんでした)
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