「ダルデンヌ兄弟の作品を見て勉強してください。」ファミリア(2022) レントさんの映画レビュー(感想・評価)
ダルデンヌ兄弟の作品を見て勉強してください。
私たちかわいそうな移民です。俺たちは施設で育ったが息子の嫁は俺たちとは比べようもない地獄を味わってきた。あの子の笑顔を守ってやれ。子供出来たの?信じられない、嬉しー。
登場人物たちの置かれた立場や感情をすべて台詞で説明してくれるとても親切な映画です。観客は舐められてるんでしょうか。演出も昭和の時代を思い起こさせます。とても現代の映画とは思えません。
映画とはその映像表現により観客の心に訴えかけるもので、観る者がその作品に込められたメッセージを自分でその映像から読み解いて理解することにより心に深く刻み込まれます。
でもこの映画はこういうメッセージですと全部台詞で説明してくれるので観客は映像から何かを読み取る作業をしなくていいので、逆に心に深く印象付けられることもありません。
いくら登場人物たちから私たちはかわいそうな人間ですと台詞で言われたところで何も感じません。ただ台詞を聞き流すだけです。心にはなにも響きません。
ダルデンヌ兄弟という優れた映像作家がいます。その方たちの映画を見て勉強してください。彼らの作品は説明台詞を一切省いて映像だけで観客の心に訴えかけてきます。その映像を見ることで作品に込められたメッセージが心に深く染み込んできます。
本作は単に「グラントリノ」をやりたかっただけですね。あの作品をただ上からなぞっただけの作品です。上辺だけあの作品を真似ただけで、日本における移民や難民の問題、また実際に起きた事件をいくら取り入れても、その題材が作品の中で生かされていません。ただ転がってるテーマを混ぜ込んで一緒に具材として入れて煮込んでみました、その出来上がった料理は何の調和も取れてない、素材の味も生かしきれてないどうしようもない料理にしかなりません。
ちなみに本作は違和感あるシーンの連続です。特におかしいのがブラジル人のカップルが追い詰められて屋上で行為に及ぶのですが、着の身着のままで行為に及んで明け方にはなぜか二人とも全裸でシーツにくるまっています。どこからいつの間にそのシーツを持って来たんだろう。あの半グレのボスも設定に無理がありすぎやしないか。いつも子供の水筒でお茶飲んでるとか。もう少しどうにかならなかったのかな。
役所広司さんはどうしてこの役を引き受けたんでしょうか。ほんと役者もカメラもいいものを使っているのに、脚本と演出が酷すぎて、正直この難しい題材を扱えるレベルに達してないと思います。生半可な気持ちでこんなテーマで作品を作るのは逆に移民や難民の人たちに失礼かもしれません。
Amazonプライムで見放題が終わりに近いので見ましたが、久々に途中で見るのやめようかと思いました、なかなかの拷問でした。
難しいテーマですが、ダルデンヌ兄弟の境地に行くのはなかなかハードルが高いですね。クェートの件ですが、知人の奥様は日本に住んでいたので、全ての議員に救助を訴えて動いてくれたのが猪木さんだけだったとききました。私もこの話はリアルタイムではなく5年程前に聞いたのです。