「詰め込みすぎ」ファミリア(2022) つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
詰め込みすぎ
こりゃ酷いとは思わないけれど、本来あってもよさそうなエモーションがなかったのが残念でならない。
というのも、少々多くのことを盛り込みすぎなのではないかと思うのだ。
物語の核として「家族」があるのは分かる。しかしそのことについてほぼ全ての登場キャラクターを絡めるのはやり過ぎだ。
主人公誠治が孤児院出身であることと過去、息子の国際結婚、結婚相手の出身国での状況、ブラジル人コミュニティからは全体とマルコス、マルコスを執拗に追い込む榎本の過去の出来事。あとはネタバレになるので書けない事件もいくつか。
これはちょっと詰め込みすぎだ。
観ていて何に集中すればいいのか全く分からなくなる。結果、何にも集中できずエモーションが生まれない。
途中で、クリント・イーストウッド監督の「グラントリノ」と同じ系譜なんだなと気付いた。「グラントリノ」に異物が入りまくって何だか分からなくなってしまったもの。
「グラントリノ」をこの作品に置き換えるならば、誠治とブラジル人コミュニティの交流しか描いてないことになる。
映画は2時間から3時間くらいしか尺がないのだからこの一つだけで大体一杯一杯なのだ。それを3倍も4倍も詰め込んではいけない。
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