「はじめに感じた違和感!しかしラストではしっかりと感動していた!」ファミリア 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
はじめに感じた違和感!しかしラストではしっかりと感動していた!
その感動の本質は何だったのだろう?
陶芸家の神谷誠治(役所広司)のラストの身体を張った行為。
ブラジル移民を目の敵にして私怨を晴らす榎本海斗(MIYAVI)を、
ほとんど単独行動で逮捕に至る・・・
ほとんどデンゼル・ワシントンの「イコライザー」ではないか?
まぁデンゼルほど暴力的ではないし不死身でもない。
神谷はブラジル移民のマルコス(サガルエルカス)と恋人のエリカ
(ワケドファジレ)たちにとっては、正真正銘のヒーローだ‼️
この映画のテーマは大きい。
俳優もオーディションで選ばれた南米人。
言葉は日本語、英語と、ポルトガル語の3ヶ国語が飛び交う。
誠治がハングレ集団のリンチからマルコスを助けて治療したことから、
ブラジル移民のコミュニティと親しくなる。
その話しが一つ。
もう一つは商社員でアルジェリアのプラントで働く神谷の
息子・学(吉沢亮)。
彼が難民出身の妻・ナディア(アリまらい果)を伴って帰国する。
そして学は仕事を辞めて陶芸の仕事を継ぐというのだった。
その申し出を断る誠治。
そして再度アルジェリアに帰った学とナディアは、武装テロ組織により
占拠されたプラントで人質として殺される・・・
神谷は息子と恋人と嫁、更に後で知るもうひとつの命も失ってしまうのだ。
榎本(MIYAVI)の私怨には同情せざる得なかった。
ブラジル人の運転するバスに妻子を殺された。
運転手はベロベロに酔っていた。
強制送還された運転手を探しにブラジルに行った榎本。
運転手は既に死亡していた。
榎本のやり場の無い怒りはブラジル移民全体に向けられる。
(これは間違っているのは明らかだ)
そしてまた一方で政府の努力も虚しく、
学とナディアを人質として殺されてしまった神谷も
怒りのやり場がない。
その無念が榎本のような怪物への怒りに転嫁し、
ブラジル人を助けようと思う動機づけとなったのか。
榎本のお門違いの復讐は更にエスカレートして、
被害者が増えて行く後半は怒涛の展開で、目が離せず、
神谷が乗り出すラストはテンポが更に加速して行く。
それにしても警察(神谷の養護施設の友人の佐藤浩市は警察官)の
ハングレ集団への無力は何なんだろう?
ブラジル人だから本腰を入れて捜査しない。
自国民でないから?・・それはあると思う。
外国人労働者を取囲む様々な問題は簡単ではない。
ゴミの分別ひとつでも日本人町内会と対立したりする。
コミュニティが大きくなり人口が増えれば、その行動も悪目立ちして、
イギリスがユーロ離脱の際に問題化したように移民に仕事を奪われる
事態も起きてくる。
「ファミリア」という題名。
予告編で何度も言っている
《俺たち家族になるのだよ》
理想論に聞こえてならなかった。
入管施設で死亡したミャンマー女性の事件での職員の非情。
介護士を目指すフィリピン人やベトナム人に課する難し過ぎる資格試験。
技能修習生という名目で誘って恐ろしく安い賃金で働かせる。
個人個人の日本人の多くは善良で紳士的で優しい。
家族になってハーフを増やして更にクォーターも倍々増やして、
人種なんて意識しなくて良い社会。
隣に住むのは肌の色の違う人々。
それが普通になる程、血が混ざれば良い。
それが理想。
この映画もそんな理想の一つの方向を示しているのかも知れない。
性善説。おおらかさ。
きっとそれがこの映画の感動の理由だったのだと思います。
あの団地、実際にあり外国人がたくさん住んでいる、とレビューしていた方がありました。
問題点は、今も未来もたくさん出て来ますね。テーマは良かったと思います。
と、偉そうに書いたりしまして💦🦁
なるほど〜とレビューを拝読させていただいて思いました。
感情の昂りが、あの変な奴を刺しに行かせたと。ブラジル人との顔馴染みはあるかと思いましたが、マルコスとそんなに親しくないのに、あそこまでするかーと⁉️
息子夫婦が殺されたのも、不幸な境遇に持って行くが為に感じました。役所広司さんの演技力で持っていますが、ストーリーは、ちょっと都合良すぎな点が見えます。