「愛知県の山間部の街。 ここにはブラジルからの移民が多数暮らしている...」ファミリア りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
愛知県の山間部の街。 ここにはブラジルからの移民が多数暮らしている...
愛知県の山間部の街。
ここにはブラジルからの移民が多数暮らしている。
駅前の商店では、ブラジル人客と日本人商店主がにこやかに喋っている。
が、それは街の一面。
ブラジル人たちは非正規雇用で、雇用の調整弁でしかない。
憂さ晴らしに集まるクラブは、彼らの熱気がムンムン。
そんな中、ひとりのブラジル人青年が、日本人の半グレグループに襲われた。
ブラジル人青年は、彼らの売上金500万円を持ち逃げしたのだった・・・
といったところから始まる物語で、心温まるヒューマンドラマを期待した身としては、ノッケから「えええ」。
ひと昔前の東映映画みたいだ。
一方、焼き物職人としてひとりで山里に暮らす誠治(役所広司)。
若い頃に妻と死別、ひとり息子の学(吉沢亮)はアルジェリアで大型プラントの建設に携わっている。
誠治にとっては自慢の息子である。
そんな学が久しぶりに帰国する。
学は現地で知り合った娘・ナディアと結婚したのだ。
その結婚休暇としての一時帰国だった・・・
ブラジル人側と誠治側とは接点はないが、先の現金持ち逃げ青年をかばったことで半グレグループに狙われることになった青年マルコスが偶然、誠治のもとに逃げ込んできたことから、接点ができ・・・
と展開するが、どことなく最近のクリント・イーストウッド作品(『グラン・トリノ』『クライ・マッチョ』)に似た雰囲気。
まぁ悪くはないのだけれど、半グレグループの暴力描写がすさまじく、かつ、どことなく古く臭い雰囲気も漂わせているので、ちょっと観ていて困ってしまう。
そうこうするうちに学はナディアとともに再びアルジェリアへ旅立ち、現地で反政府組織のテロに巻き込まれてしまう・・・
うーむ、間口広げすぎだな。
が、世界は暴力で満ち溢れている。
そういうこと。
そういうことなんだろう。
一般市民は暴力世界に近づきたくないが、なんだかんだといっても巻き込まれてしまう可能性もある。
いやぁコワイコワイ。
国籍・文化を超えてのグローバル世界は、暴力と平和の壁も容易く越えてしまうのかもしれません。
終幕は誠治が身を呈してマルコスを助けるというもの。
ここはほとんどイーストウッドだねぇ。
というわけで、観る前に期待していたのとは全然別テイストの作品でした。
まるっきりツマラナイわけではないのだけれど、盛り込み過ぎで、とっ散らかったままになった感がありました。