「懐かしのファミリア」ファミリア kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしのファミリア
80年代、とても多かったファミリア。映画はトヨタの中心だったけど、ファミリアはマツダ。カノジョの真っ赤なファミリアを傷つけたことでえらく怒られてしまった若かりし頃の記憶。結局カノジョとはファミリアになれなかった・・・
ブラジル人移民への復讐とかブラジル人の生活苦などを目にすると、かつては日本人が移民として渡ってたんだよな~石川達三の「蒼氓」を思い出したりして。サッカー留学する選手もいるよね…よく知らんけど。
家族を内戦で亡くしたナディア、家族を事故で亡くしたカイト、喪失感溢れる登場人物たちが多いけど、新しい家族を追い求めたり、諦めたりと、夢もそれぞれ。人種も性格の多様性もお互い認めなきゃ。
全体的に暗いトーンだったが、恋人や新しい家族への思いがひしひしと伝わってくる作品。重厚な人間関係の輻輳もブラジル人団地を中心に広がり、上下関係や因縁までもが観る者の心をわしづかみにするかのようだった。特に面白いのが父親が町の有力者である半グレの榎本海斗(MIYAVI)。彼に対しては定年間近の警察官(佐藤浩市)もヤクザの青木(松重豊)も手が出せないといったしがらみがある点。世捨て人的な神谷誠治(役所広司)の目線で見ると全てが見えてきそうな関係でもあった。テロに対する政府の対応も問題提起として興味深いところ。
さすがに終盤の展開には納得できなかった。ボイスレコーダーはいいとしても、あの場で血気盛んな部下たちが手を出すような気もするし、そうなると、海斗を捕まえるにはどう足掻いても無理・・・社会派作品よりも家族の絆を優先させたところが唯一の欠点ともとれる。
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