「詰め込み過ぎで、練り込み不足?!」ファミリア talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
詰め込み過ぎで、練り込み不足?!
ブラジル移民の問題あり、半グレ集団の問題あり、中東ゲリラの問題ありと、今どき(?)の政治問題、社会問題がてんこ盛りに詰め込まれていて、視点がとっ散らかってしまったというのか、フォーカスが甘くなってしまったというのか、ストーリーの練り込みが足りなくなってしまったというのか…。とにかく、そんな残念な一本になってしまいました。評論子には。
おまけに、誠治(役所広司)と半グレ集団のボス海斗(MIYAVI )との対決は、いかがなものだったでしょうか。
評論子の脳裏には「アジャン・プロボカトゥール」(教唆する刑事巡査)」という刑事訴訟法の教科書であれば、どんなに薄い本にも必ず載っているフレーズが思い浮んでしまいました。
これは、「捜査機関またはその協力者が犯罪を犯しそうな者に接近して犯罪に導き,犯罪の実行をまってこれを捕らえる捜査方法」のことを言い、「国家がみずから犯人を作り出しながらこれを捕らえて罰するというのは不公正の感を免れず,アメリカでは犯罪実行者の処罰自体を問題にする」とも解説されています(出典はいずれもコトバンク)。
(老婆心ながら、せっかく誠治に対する殺人未遂などに基づいて半グレ集団を立件・起訴できたとしても、ちゃんと裁判官を納得させられて、有罪判決が取れるのでしょうか。録音した証言だって、あとで「それは暴行されて、やむなく誠治の意に沿うウソの証言をしただけ」と言われれば、それまで(誠治が拷問をして証言させたことは事実)。作品中では、警察当局は(懲役)15年は固いと、自信満々だったようですけれども)。
いろいろと詰め込み過ぎて、ストーリーの練り込みが足りなくなってしまっている弊害が、そんなとこにも出てしまったように、評論子には思われます。