劇場公開日 2023年1月6日

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「地球上のすべてが家族と思える日が来てほしい」ファミリア おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5地球上のすべてが家族と思える日が来てほしい

2023年1月8日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

今日は2023年最初の金曜日で、公開作品がめじろ押し。で、上映スケジュールを考慮して2本目に選んだのが本作。

ストーリーは、一人暮らしの陶器職人・神谷誠治が、赴任先のアルジェリアから婚約者ナディアを連れて一時帰国した息子・学を迎えたところに、半グレ集団に追われたマルコスが逃げ込み、彼をたまたまかくまったことから在日ブラジル人と交流するようになり、そこで知った彼らの思いやアルジェリアに戻った息子を襲った事件を通して、ある決断をしていくというもの。

物語では、主人公の神谷誠治を中心に、誠治の息子とその婚約者、義理の兄夫婦、在日ブラジル人家族、半グレリーダー・榎本と妻や娘など、さまざまな家族が描かれます。また、家族に近い存在として、誠治と同じ施設で育った旧友・駒田隆、マルコスと恋人のエリカ、彼らの幼なじみ等が描かれます。(広く捉えればこれに、半グレ集団、ヤクザ、テロ組織も加えてもいいかもしれません。)そして、それぞれが自分の家族や恋人や仲間をとても大切にしています。

それ故に、それを踏みにじるような行為は決して許すことができず、相手を恨んだり、憎んだり、復讐しようとしたり、排除しようとしたり、信用できなかったりしてしまうのだと思います。本作でも、そんな悲しい負の連鎖が描かれているようで苦しくなります。ラストは、「暴力には暴力で」という決着かに見えてさらに暗い気持ちになりかけましたが、ぎりぎりのところでそれを回避した展開にわずかながらの光が見え、ちょっとだけホッとしました。

本作の舞台は、在日ブラジル人の最も多い愛知県、その中でも上位の豊田市です。豊田市在住ではないですが、自分の住む街にもブラジル人が本当に多く、仕事で関わることも少なくありません。言いたくないですが、トラブル発生率はかなり高くて、つい「だからブラジル人は…」と彼らを一括りにしたくなることもあります。でも、それがダメなのです。言葉も通じない異国で不安と戦いながら生きる彼らに、その一人一人にもっと寄り添う必要があるのだと思います。国際間の緊張が高まる一方の昨今、人種、外見、言葉、文化、風習等、さまざまな違いを乗り越えて、地球上のすべてが家族と思えるような日が来たら素敵だろうな、なんてことを考えてしまいました。

主演は役所広司さんで、期待どおりの抜群の演技です。脇を固めるのは、佐藤浩市さん、中原丈雄さん、室井滋さん、松重豊さんらベテラン俳優で磐石の布陣。若手では吉沢亮くん、高橋侃くんらが好演。あと、なにげにMIYAVIさんが、うまくハマっていました。「ヘルドッグス」の時も感じましたが、この手の役は抜群にいいですね。

おじゃる
cocoloさんのコメント
2023年1月8日

共感、ありがとうございます。
私が製造業に従事していた頃、トヨタのお膝元、岡崎に機械製図を習いに行きました。流石に、技能検定委員や、JIS規格の管理をされている方がいらして、本当にきめ細かく教えて頂いたものです。

私が出会ったブラジル人は、私の当時の勤務先が良かったこともあると思いますが、同僚の女性社員がブラジル人と結婚したくらいでしたから(^o^)/。
でも、これだから○▽人は···········と、ため息💨をつき、諦めてしまうこともあったようです。私は仕事上接する機会が多かったので気付いたのですが、中国人実習生が異臭を放っていたので、彼らの寮をチェックしてみますと……、物凄いゴミ屋敷、カビ屋敷。
実習生と一緒に断捨離と掃除をやりましたが、来日した途端コロナで休業が重なり、帰国できないわ、他にバイトも転職もできないわで、だらしないというより、掃除も出来ない程生活が破綻していたようです。
断捨離&掃除後、頭の整理整頓も進んだようで、色んなことに意欲的になられたみたい。

日本人も、かなり外国人に仕事を取られてきましたし、仕事して、生きていくのは誰もが大変ですね。

cocolo