「節目」劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE しおやきさんの映画レビュー(感想・評価)
節目
残念な意味で期待を裏切られました。
常守のやった事は間違いなくテロ行為で、それを肯定せざるを得ないとするような脚本演出に萎えた。
突然思わぬ形で父を失った灼に掛けた言葉や、狡噛に貴方のおかげでテロ行為をする決心が着いたと取れる内容の手紙を送る振る舞いにも正直引いてしまったので、最後の号泣シーンも見ていて胸を打つどころかしらけてしまいました。
(声優さんのお芝居が悪い訳ではないです)
後に結局放免される事が分かっているのもありますが…。
狡噛が人を殺める事についてだけ言及したり、謝って欲しかっただけなのに…と言うのも謎。謝罪の必要ある?なんか今回女の嫌な所見せられてると感じるシーンが多くてそれもキツかった。
今作で雑賀先生の最期が描かれるだろうとは思っていましたが、常守の悲劇の積立貯金のために退場させられた感が否めなかったのも辛い。
狡噛がドミネーター使えたり宜野座が監視対象解除されて捜査の指揮を取れるっていうのも随分都合の良い設定だな…と思いました。
執行官、潜在犯、逃亡犯、初期の頃にあった其々が背負う制約や重みが軽くなってしまった気がして。
甲斐や矢吹、砺波の描写も不十分で分かりにくい。
特に砺波は敵役としてシンプルに魅力が無かった。
戦闘シーンも場所を変え何度もある割には薄味というか印象に残らないというか…リアリティを求めた結果、アニメならではの迫力や面白味に欠けてしまったように思います。
2時間に収めるために色々削ったようなので、キャラクターの背景や心理描写不足はその辺の影響もあるのかなと思いますが…
常守は自分の信念の為なら周りへの影響を鑑みない共感性の欠けたエゴイストに見えたし、狡噛と宜野座は常守を指針にして盲信する、確固たる信念は特にない大人達にしか見えなかった。
大好きなキャラだったはずなのに全然共感出来ないし、人として格好いいとも思えなかった事が悲しい。
FI以降の話が今後展開があるのか知りませんが、集大成として提示された物がこれだったと言う事は、自分はもうお呼びでない客なんだろうなと思います。
ある意味節目となりました。
3期は微妙だったけどSS3部作は面白かっただけに少し期待していましたが残念です。
何回も観ないと分からない作品と何回も観たくなる作品は全く違うものですよ。
須郷と花城は新たな一面が見られて良かった。
あと音楽と声優さんのお芝居と一部の作画は大変満足のいくものでした。