「最後に戻れてよかった、宜野座の髪だけでも」劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE レインさんの映画レビュー(感想・評価)
最後に戻れてよかった、宜野座の髪だけでも
2回も観て悲しみだけが沈澱してくる。
何よりもTVアニメと比べてあまりにも失いモノが多すぎる。
慎導篤志、輝、
そして雑賀先生までその惨敗で終わったどうでもいい計画の犠牲になるなんて。
世界観が壮大になった分、一係は一期ニ期のレールから完全に踏み外してドミネーターを手放したりするし、常守は狡噛に謝ってもらうどころか、狡噛のにのまいを踏んだ感覚しかなかった。
結局登場人物それぞれはシビュラの絶対的な支配下ではやってられなかった、それぞれ自分の正義を代償を払うまで貫いた..
暴力で暴力を裁くという、
今まで一期の狡噛は裁くべき対象として記述されることが多いが、本作では何故常守の最後の「暴力」によって合理化されそうと感じるのが最も悲しい。
この点では原点回帰というか、スケールも次元も違いすぎてエンディングがとうとう一期ファンの理想から遠ざかっていく気分。
暴力とはいえ、法の存続に関して議論し続けることの重要性を意識させた点が良かった。特にAIの時代、人間はどうしても利便性のある権威的なモノを頼りにしがちだが、物語は絶対的秩序への追求に対する手抜き行為にアラームをつけた気がするし、人間の価値への再検討を喚起した。
ただ三期がすでに出ているものの、これからどうなるだろうと気になってしょうがない。
ストーリーが一方通行すぎて、今以上元一係が恋しくなりそるだろうし、シビュラのバグや限界が今以上見えてきて納得にいけるシステムの進化と世界線の収束が難しそう。
加えていろんな課題が現実になりつつであり、それと対面しなければならないこれからのシナリオ作りが大変そう。
様々な要素が入ってて製作者の思い入れの詰まった映画だが、バラバラになったメンバー、バラバラとなったテーマ....せめて宜野座の髪の毛だけもう三期のままにキープしない?