「彼女の歌声を浴びる為に観る」ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女の歌声を浴びる為に観る
我々アラフィフ世代が、特に歌唱力や歌声で「歌姫」を挙げるなら筆頭は彼女になるだろう。
彼女が「エンダーの人」として有名になってしまうのは、当時のファンとしては受け入れがたいのが正直なところで、彼女が『ボディガード』に出た辺りは、もう我々は若干彼女のピークアウトを感じていたから。(現実的には音楽活動から俳優活動にシフトしていたワケだけど)
それでも2012年の突然の訃報には驚かされた。
本作はその背景を描いているが、それもまたなかなかショッキングなものだった。
とは言え、この映画はとにかく彼女の歌声を浴びるように味わい尽くすこと、もうそのために存在すると言っていい。
プロデューサーに紹介しようと母親が彼女を独りで立たせたステージからもう圧巻なのだが、スーパーボウルの国歌独唱では(あのシーンを当時TVで観ていたのに)あらためて鳥肌が止まらなかった。
もちろん他に、本作中にも数えきれないほどのヒット曲か登場するが、ほとんどの曲が歌えてしまう自分に気付く。そのくらい当時は印象的で衝撃的だった。
そして、アーティストの自伝的映画ではお決まりの、最後の熱唱。
少し上映時間が長いので、ラストのライブシーンで尿意に邪魔されないようにご準備を。
結局スターが身を滅ぼすのはやはり「ドラッグ」と「金」と「SEX」。
彼女は特にドラッグだったワケだけど、「売人との取引」や「筒状に丸めたドル札」とか、象徴的なものは出てくるのに、直接的に摂取するシーンがボヤッとされているのは、レイティングシステムによるものか、遺族やファンへの配慮なのか、もしかすると「薬物表現のガイドライン」みたいなものに則しているのかも。
ホイットニー・ヒューストンが好きだった方なら、観ないという選択はあり得ない。
歌声の凄さにあらためて酔いしれる。
そんな映画です。