「シュールなSFブラックコメディであって、アクション映画ではない。」デュアル 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
シュールなSFブラックコメディであって、アクション映画ではない。
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「クローンとそのオリジナルである女性の生き残りをかけた死闘を描いたSFサスペンス」という説明文は、ちょっとだけ正しくて、ほとんど間違っている。クローンとオリジナルが生き残りをかけて決闘する、という設定は物語の核として存在はするが、本筋は決闘ではない。ネタバレ設定にしたから安心して書くが、クライマックスは決闘じゃないし、そもそもアクション映画ですらない。カレン・ギランにわりとアクションのイメージが付いているからこその宣伝側の意図的なミスリードだろう。
じゃあなんの映画かというと、恋人や毒親に主体性を奪われてきた女性が、自分のクローンと殺し合うハメになるシュールなブラックコメディであり、決闘のために訓練を積む過程で、自分自身を獲得していく物語でもある。
その前提で観れば(というかその前提で観る以外に想像がつかないが)、もう最初からヘンテコでや面白いシーンしかなく、面白ネタが多すぎて全部覚えていられないのがもどかしい。しかもときおりリアルな感触に触れてゾッとする瞬間が訪れるので、本当に油断ならない。あと、戦闘術を教えてくれるコーチをアーロン・ポールが演じているのだが、このキャラが『トップガン マーヴェリック』のトム・クルーズを軽々と超えてくる名コーチっぷりであり、好きにならずにいられないので本当におすすめ。
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