「「湯道」の違和感が最後まで拭えず。」湯道 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
「湯道」の違和感が最後まで拭えず。
今流行りのスーパー銭湯は、厳密に言うと自治体の定めで入浴料の上限の設定がある「一般公衆浴場=銭湯」とは違うということです。
そのくくりで考えますと、実は私は生まれてこのかた番台のある銭湯は一度も利用したことがありませんでした。幼少期、田舎暮らしは一軒家で内風呂当たり前でしたし進学して上京した際の板橋の下宿先も家賃3万台でなぜか私の部屋だけ奇跡的に風呂付き物件だったことを思い返して懐かしんでおります。
銭湯といえば幼少期にドリフのコントなどでよく扱われており、私にとっては「テレビの中の憧れのイメージ」です。よく考えたら夜のゴールデンタイムによくあんなお色気シーンやってたな、と思い返してニヤニヤしてます(笑)。
話がそれましたが、この作品は今や閉鎖寸前の古びた昭和の佇まいの銭湯を運営する家族、その銭湯の常連客を中心としたヒューマンドラマです。
そこに「湯道」という架空の「入浴を嗜む日本の伝統芸術?」をプラスすることでかなりコメディ要素がつよくなっております。
今や時代遅れの老朽化甚だしい、全く儲かってるとは思えない銭湯を続けるのか辞めるのか兄弟間での考え方の違いによる確執などはあり、コメディベースとはいえシリアスな局面も多少はありました。
しかし、それ以上に常連さんとの触れ合いや文字通りお風呂での裸の付き合いなどハートウォーミングな場面、そしてなんといっても「日本人だからこそ分かる入浴の醍醐味」が存分に表現されていて、まるでひとっ風呂浴びた様な爽快感、心地良さが勝る状況です。
ただひとつ気になるところが。
銭湯自体があまり世代通じて一般的ではない中で、そのしきたり、ローカルルールなどを真面目に説明するだけでも時代錯誤的面白さコメディに繋がる部分があったのに、わさわざ更に湯道という妙な世界観(失礼!)を差し入れる必要があったのか、というのが疑問としてありました。
まあ、それを言っては映画の主題が変わってしまうけど、逆に言えば銭湯のレトロな魅力がそれ以上だったということでしょうね。
風呂好き、銭湯愛好家はぜひ!