「蠢く人々」探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
蠢く人々
新宿・歌舞伎町が舞台。
今は取り壊された九龍街の面影を投影でもしたいのだろうか?海外からどう見えるのかは知らないけど、そこまでカオスな印象は受けない。
オムニバスな感じで話は進むのだけど、荒唐無稽な事柄が続く。ただ一貫して言えるのは、それぞれに生き様があるという事だろうか?
歌舞伎町自体に接点はないし、そこに棲息してる人々とも接点はない。せいぜい映画館に行くのにすれ違うのが関の山な人々。
つまり、普段の俺には見えていない。いわゆる通行人Aみたいな事だろうか?
そんな人達にもドラマがあり、心動かされるものがある。つまりは、俺にもそんなものがあるって事だ。
…なるほどなぁと思う。
ロマンのようなモノを感じる事はないけれど、垣根を設ける事もないってな事は薄っすら感じた。
大筋として宇宙人の帰還みたいな事があるんだけれど、ソレはソレで些細な事のような感じでもある。
そんな事よりも、身近な出来事の方がはるかに大事だし重要だ。主人公が探偵って職業なのはそういう意味合いもあるのかな?手の届く範囲の問題に直面していくって事だ。
ガイガーカウンターの存在もそうだけど、放射能って言われれば被曝を意識し近づきたくはない。
けど、劇中の人々はおかまいなしだ。そんな事も含めて「今だけを生きる」ってのがテーマなのかもしれない。
まぁ、全篇通してボンヤリした印象なのだけれど、役者陣は奮闘してた。
このボンヤリってのも、魅せるって観点ではなく眺めるって観点を意識したものなのかもしれない。
で…主人公が凄腕の探偵って話なのだけど…そこはイマイチというかイマサンくらいの勢いで伝わらない。
▪️追記
「生涯で1番悲惨な日」って事なんだけど…概念なのかと思う。今日がその日だと思えば、もうそれ以上悲惨な事は起こらないはずなので不確定な明日を生きていこうと思える、みたいな。
意図は読み取れないが随分と思わせぶりな副題だなぁとは思う。