「ハイボールヴギ」探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ハイボールヴギ
あらすじを大して読んでなかった自分も悪いんですが、内田監督・片山監督が3本ずつ短編を作り、それらをら組み合わせて1本の作品にしたという感じみたいなんですが、オムニバス系の映画が苦手な自分にとって、中々苦痛な時間でした。
内田監督は切ないロマンス、片山監督はハードボイルドな展開の作品が得意な監督だと思いますし、単独作向けの人たちなので、いったいどんな経緯で合作しようとなったのかよく分かりませんが、作っている途中で疑問に思わなかったのか、それとも終着点だけ決めてあとは個人で物語を作ったのか、日本映画ではあまりない合作という試みの欠点をまじまじと見せつけられた気がしました。
ストーリーは宇宙人の捜索、恋愛の絡れ、姉妹愛、娘の捜索などなど色々と盛り込まれていますが、かろうじて線と線がつながっているくらいで、それぞれの物語は基本的に独立しており、ひとつひとつが面白いかと言われると微妙でアンバランスでした。
観たことのない作品の総集編を観ているかのような感覚に陥り、置いてけぼりにされてしまいました。
エイリアンが殆ど登場しないのも問題があると思います。まさかの手だけの登場という、じゃあもう箱の中だけでいいんじゃないと思ってしまいました。そこにかける予算が無いのは仕方ないと思うんですが、一応物語の根幹にエイリアンはいたので、低クオリティCGの宇宙人でもいいから拝みたかったなっていう気持ちです。
両監督の人脈の広さが今作では完全にノイズになっていて、無駄に登場人物が多い割には役割を与えきれていないように思えました。シーンが進むごとに増えていくので、スクリーン内が人で埋め尽くされるのは展開的にも物語的にも物語的にもダメなように思えました。
これが出演した役者陣のみに観せるものならワイワイ楽しめると思うのですが、あくまで全国公開の作品ということを念頭に置いておいてほしかったです。
役者陣はとても良かったと思います。特に久保史緒里さんの存在感は今作のカオスさの中に安らぎを与えてくれているようでした。竹野内豊さんのダメダンディーっぷりも素晴らしかったです。伊藤沙莉さんのバーのママがこれまた似合う似合う。
この役者陣をもってしても抗えない脚本の粗さには何度も頭を抱えてしまいましたが…。
ゆるい映画は好きですが、雑な映画は嫌いです。今作はただ組み合わせただけ、監督の個性が交わっておらずの駄目なパターンになっていたと思います。
ハードボイルドとロマンチックは食い合わせが悪いということがはっきり分かりました。両監督はやはり単独作でこそ輝くと思います。
ということで単独での次回作には期待しています。コラボはもうしないでほしいというのが本音です。
鑑賞日 7/4
鑑賞時間 18:40〜20:45
座席 G-10