劇場公開日 2022年12月23日

「福田味薄めの良作」ブラックナイトパレード よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5福田味薄めの良作

2023年1月5日
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福田監督作品が好きだったのも今は昔。
今となっては福田監督のクドい笑いに胃もたれを起こすような年になった。()

今作も賛否両論の意見をたくさん聞いていたので不安半分で行ったのだが、意外や意外クドイ笑いが少なくクスッと笑えるのが随所にあり、ストーリーもギャグに流されず根幹がしっかりとあって普通に良かった。

クライマックスのネズミとの戦いが鼠のCGのチープさ?なのかアクションの振り付けか撮り方が悪いのかわからないが、わかりにくくなったりするきらいは有った。

だが、原作が気になったし、続編も普通に観てみたいなと感じた。

ここまで福田味がちょうどいい具合に薄くなったのはプロデューサーの頑張り、聖☆おにいさんで既に福田監督とタッグを組んでた原作者の中村光さんのおかげなのかはわからないが一つ確実なことがある。
今回は脚本を福田監督が書いていないということだ。
エンドロールを見た限り福田雄一さんは監督としかクレジットされてなかった・・と思う。

脚本を別の人が書いたことで基本のストーリーをしっかりさせつつ福田監督が遊べるところもいくつか作っておいてちょうどいい味に整っていたんだろうなと思った。
特に最初視聴者には顔が見えてないブラックサンタと主人公がなぜ普通に話しているんだ、違和感を感じないのかと思っていたら、その伏線がうまい具合に回収された時は驚いた。

さらに俳優陣もこのスタッフ陣の努力に演技力で応えていた。
ムロさんも佐藤さんも以前の福田作品よりはしつこいギャグも抑えめで、最初の佐藤さんの店長なんか「そうそうこういう佐藤さんが見たかったんだよ」と思った。

そして中川大志さんも最初は無茶苦茶ウザい演技で生理的に受け付けれなかったが、カイザーの過去が明かされてからはいい具合になってきてなんだかんだ好きになった。

そしてこの映画最大の功労者といってもいいのは吉沢亮さん。
序盤からカイザーやその他諸々に振り回される受身の演技が実に素晴らしい。
ギャグの場面でもそのキャラの心情を踏まえたボケになっていて大河ドラマを経た吉沢さんという役者さんの才能が完全に開花した瞬間を見れた気がする。

吉沢さんファンの方は絶対にこの映画を見に行くべきだ。

よっちゃんイカ