「親というのは誰かの子どもでもあるという連鎖の中で、、、」The Son 息子 kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
親というのは誰かの子どもでもあるという連鎖の中で、、、
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いわゆる勝ち組・マッチョな思考をする父親。息子に対し一時的にシンパシーを感じることはある。しかし、関係性を俯瞰して理解するエンパシーを欠いている。職業が弁護士ということも示唆的だ。ロジカルな戦略と実行で成功してきた。自らの父親によって封印されてきたのだろうか、人としての揺らぎとか、思春期特有の実存的危機に全く無頓着。
「(君は息子の)悪いほうばかり見る」と非難された現在の妻から「悪いところをちっとも見ないあなたの方がもっと悪い」みたいに言い返されるところは白眉だった。息子の訴えに対しても図らずも「イッツマイライフ!」と漏らしてしまったところと共に。
救いは、ない。否、救いと見せてくれた「妄想」があった。
「ファーザー」の時も感心したけどこの監督、舞台としての室内のしつらえ(美術・小物)が示唆的でリアリティもあって素晴らしい。見ていて退屈するところがなかった。
ラストの悲劇はもう見え見えだったので、逆にビクビクさせられて、それはそれでエキサイティングだった。
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