「寅さんみたいな伯父さんがいたらよかったのにね」The Son 息子 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
寅さんみたいな伯父さんがいたらよかったのにね
スターリン政権下でのウクライナに対するジェノサイド(ポロドモール)を描いた映画、「赤い闇」に出ていた女優のバネッサ・カーヴィーがべス役で出演していたので、悲しいストーリーとわかっていながらも朝イチから鑑賞。
ヒュー・ジャックマン演じるピーターは先妻とその間にできたひとり息子のニコラスと別れて、若い嫁べスとの間の赤子(なかなか大きくならない)と暮らしているやり手の弁護士。ポールの父親役はアンソニー・ホプキンス。神殿のような玄関の立派な家に住んでいました。
主役の息子ニコラス役はいかにもナイーブな少年でとても痛々しかったし、恐ろしいことしそうだった。
先妻ケイト(ローラ・ダーン)はニコラスがリスカしたり、自分をかえりみなかった父親と暮らしたいと言い出すほど悪~い母親には見えなかったのと、ニコラスを立ち直らせようとする二人がとてもラブラブで、昼間から酒飲んだりのんびりしていたのは大いに違和感。最初の設定に無理があるような気がした。別に離婚してなくても、この父子三代にはそうなる必然性があった。プライドが高いので、自分達の異常性に気がつかないことが悲劇。手遅れになりやすい。
こういう時は寅さんみたいなダメな伯父さんに相談するのがいいんだよね。
若い嫁のべス(バネッサ・カーヴィ)も育児にもっとイラついたり、ニコラスを誘惑するような人物設定にして欲しかったなぁ。折角、バネッサ・カーヴィなんだから。
洗濯機のなかのベビー服が映った時、ニコラスが赤子を放り込んで脱水ボタンを押したのかと思った。
オイラのほうがずっと病んでるな。
急性うつ病にしてはニコラスは病院でも、帰って来てからもハイで元気だった印象。悪徳病院だったかもしれないけど、懸念は的中。
子育てって、ボタンを掛け違うと修復困難になることを痛感。しかし、若い人はこの手の映画は観ないから、その効力は極めて小さいと言わざるを得ない。
今晩は
コメント有難うございます。
「塩狩峠」は、ブレーキの効かなくなった列車を自身の身を投げて止めるという物語だったと思いますが、私は今作は矢張りヘルマンヘッセの過度なプレッシャーに屈した青年を描いた「車輪の下」がベースになっていると思いました。では。
なるほど…2人を足して割ったような雰囲気ありますねー☝️
鬱屈した表情。若い時間はかえらないけれど、あれではさみしい。しかし、ピーターは、ちょっと鈍感でしたね。ケイトはタイミングを逃していたかと。ベスは、あの立場でがんばりましたが、その分心配でした。
寅さんwelcome、共感です。