イニシェリン島の精霊のレビュー・感想・評価
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マーティン・マクドナー監督の佳作!
ユナイテッドシネマ浦和にて鑑賞。
風光明媚な小さい島を舞台に、2人のおじさんが仲違いするが、この喧嘩に対比させるようにアイルランド内戦を描いているのが凄い!
マーティン・マクドナー監督、3枚の看板に続けて、おじさんの些細な喧嘩……意外な展開が見事。
物語は1923年のイニシェリン島という小さな島が舞台。
とっても綺麗な自然の風景が心地よい。しかし、美しい風景の向こう側=対岸ではアイルランド内戦の大砲の音などが聞こえて煙が見える。
しかし、のどかで平和に見えるこの島で、誰からも好かれる男パードリック(コリン・ファレル)が、親友コルム(ブレンダン・グリーソン)から突然「俺に話かけるな!」と告げられてパードリックは困惑して賢い妹シボーン(ケリー・コンドン)に相談する。そして関係修復を試みるのだが、コルムは「これ以上、俺に話しかけたら、俺の指を切り落とす」と驚きの発言。
そして、狭い島の人々を巻き込みながら物語が展開していく……と、このあたりまでは予告編でも見られたのだが、その後の展開が驚き!
ただ、観終わった時に、もう少しスッキリしたかった…(^^;
マーティン・マクドナー監督の前作『スリー・ビルボード』を観たのは、2018年1月の試写会だったので5年経っているので、久しぶりに観たくなった。
この映画、今年のアカデミー賞で9ノミネート、どのくらい獲れるかが気になる(笑)
2人のおじさんは勿論だが、妹を演じたケリー・コンドンは素晴らしい演技力でアカデミー助演女優賞は確実?
<映倫No.49362>
イニシェリン島の精霊
理不尽の絶交されて、復縁しようとする話。
それ以上でも以下でも無い気がした。
僻地で起こった小さな出来事だが無限に大きな出来事に思えてくる不思議。
次回に期待。
2つのアイデンティティ
前作『スリー・ビルボード』では娘の強○殺人をきっかけに、怒りで周囲が見えなくなった母親が巻き起こす騒動をブラック・ユーモアたっぷりに描いていた本作を監督したマーティン・マクドナー、戯曲も手掛けている両刀使い、かつアイルランド人の両親を持つイギリス育ちで二重国籍保有者である。
1923年内戦勃発中のアイルランド本島が向こう岸にのぞめる架空のイニシェリン島が舞台。お互いの素性がバレバレの島の住民同士、道ですれ違うたびにお互い挨拶をかわすほのぼのとした様子が冒頭映し出される。妹シボーン(ケリー・コンドン)と二人暮しの兄パードリック(コリン・ファレル)は今日もパブで駄弁るため飲み仲間のコルム(ブレンダーン・グリーソン)を誘いに家に立ち寄ったのだが、様子がどこか変だった.....
無二の親友に「お前が嫌いになった。話しかけたら俺は指をきるぞ」と一方的に突き放され途方に暮れるパードリック。この不条理劇の主役パードリックとコルムはつまるところ、マクドナーの2つに引き裂かれたアイデンティティ(イギリスとアイルランド、映画監督と戯曲作家)のメタファーなのではないだろうか。70年生まれのマクドナーは現在52歳で、最終クォーターの人生を映画監督として生きる発言をしているという。
ブレンダン演じるコルムの部屋に飾ってあった能面は、まさにそんなマクドナーの2二面性を暗示していたのかもしれない。パードリックに絶縁状をつきつけ余生を音楽に捧げたいと語るコルムの姿は、2足の草鞋を捨て映画監督として生きることをきめたマクドナーの決心とまんまオーバーラップするのである。それは自分の身体に流れているアイルランド人の血を捨てるという暴挙でもあるわけで、突き放しても突き放しても自分にすり寄ってくる精霊のごときパードリッジに内心未練タラタラなのではないだろうか。
妖精バンシーに死を予告され残された時間があまりないことを知った時、心の平静(生活の安定)を得られる道(イギリス人映画監督)を選ぶべきなのか。それとも、自分のオリジンに逆らわない素朴な生き方(アイルランド人劇作家)を選ぶべきなのか。そんなマクドナーの心の葛藤を2人のベテラン俳優に仮託した作品だったのではないだろうか。おりしも、ブレグジットの影響により監督の母国アイルランドではイングランド帰属派と北アイルランド統一独立派との間で内紛が激化していたのだ。
音楽家としての命ともいえる指をなくし家まで失ったコルムと、仲のいい妹と可愛がっていたペットを失ったパードリッジはラスト、「これで手打ちだな」「いや、まだあんたが死んでない」とかいいながら一応の平和協定を結ぶのである。「戦争をしてればいいこともある」との物騒な発言は一体何を意味していたのだろう。より深いレベルにおける相容れない両者の理解、あるいは、(死ぬまでの)最高の暇潰しともとれるマクドナーらしい毒のある意味深な言葉なのである。
正直、こういう、愚かしい暴力的な映画は見たくない。でもある種宗教...
正直、こういう、愚かしい暴力的な映画は見たくない。でもある種宗教的でもある。が、主人公の倫理観はバカで妄想的な相手には通じない。それでも賢い妹との間に愛はあり。
絶望的な映画か。そして、人の手紙を勝手に開けて読むような、悪意の島が呪わしい。
諍いは想いの違いから
まずはイ二シェリン島。寒々しくも非常に綺麗。あんな海辺のパブがあったら行ってみたい。
「人生は死ぬまでの暇つぶし」と嘯きながら自分の生きた証を残そうとすることに固執するようになった男は人が良いだけの優しい男と決別をする。
それはまるで上昇志向に取り憑かれた男が現状維持に甘んじる男を毛嫌いするような、ちょっとした、しかし大きなすれ違い。想いが仲違いすることから諍いは起きる。きっとアイルランド内戦も同じ。
お互い許し、認め合わなければ、加えて、精霊の気まぐれもなければ仲違いは終わらない。
出演者は皆んなアイルランド出身者でそれぞれ好演。特にドミニクとシボーン、そして何よりも雄弁なのは,コリン・ファレルの八の字眉。
百年前に最果ての島で
昨日までうまく行っていた(とパードリックは思っている)のが信じられないような二人の男の話。
年齢もはなれているし、趣味も違う。
それにしても百年前の離島とはいえ、○と同じ部屋で寝ているなんて、ありえなくない?
海をはさんだ本島では内戦が起こっているのに、そんな他人事みたいに無関心でいるなよっていう事なのかな。
コリンファレルの眉毛芸に酔う。
のどかな北の島に暮らす男2人の仲違いの話。まあ、なんかじんわり収束するのかと思ってたら違った。素直で素朴で純粋故に傷はどんどん深く広くなっていく。
仲違いの理由もうやむやになり、なんだったのか誰も思い出せない。真ん中くらいまで見て「あれ、これアイルランドの内戦のメタファーやんけ」とようやく気づいた。そういえば劇中でも本土の戦禍が遠くに見えるし。
なんでしょうね、うっかりしたら血が繋がっている様な隣人や、幼馴染がちょっとした考えの違いで反目し、求め合い、傷つけ合い、、、見てても止めようがない。
墓まで持っていくと言ってるし、、、、。
で、見終わってからレビュー読んだり、監督調べたらやはりその辺出身の方で、どんな思いで作っていたのか、指切る必要があるのか、、作ってる本人が一番辛かったかもしれないなどと想像した。
去年「ベルファースト」にも書いたけど、この辺の揉め事はリアルタイムたけど自分の事で精一杯のガキだったからよくわからず、、、、。
ウクライナもだけど地続きの国じゃなくて、島国日本に産まれて本当に良かったと、、こういう映画観ると毎回思う。
邦題の「精霊」が救いを感じるミスリードだな。
原題の「バンシー」だったら死を予感する、出口なしバッドエンドだ。子供の頃に読んだ山岸涼子の「バンシー」って短編まじ怖がったなぁ。
あ、書き忘れたけど、、、サウンドデザインがダメだった気がする。基本アフレコなんだけど、あれだけ海に囲まれた島なのに静かすぎる。
もっと自然の音を演出的に利用出来たんじゃないかな?
言いたい事は解るのですが
見終わった後、素晴らしい映画、感動したとは思えない。
アイルランドの風景は美しい。
草を喰む山羊や牛を見ながら歩く岩に囲まれた小道を見るとスコットランドのアイラ島に行った時を思い出しました。
何か変な映画見ちゃったなと思うものの、色んなシーンが時間経っても思い浮かんで反芻してしまう。
登場人物のキャラが立ってて、コリンファレルの演技は素晴らしい。
鑑賞中、私もこの島の閉塞感に行き詰まりそうでした。
コルムは僕と友達をやめるって。
やめるって言ったって、桐島が部活をやめるのとは違う。唯一無二と疑うことがなかった友に、「友達をやめる」と通告された純朴な善人は、戸惑い、悩み、悲しんだ。その感情は当然だ。たしかにコルムの意志の強さは、激しいはずの痛みにさえも平然(を装っているのかも)とできるほどだ。そりゃ誰だって、このまま無駄に歳をとって死んでいくだけの人生なんてまっぴらだ。だけど、それまでの付き合いをチャラに、いや完全否定するほどに、ばっさりと切り捨てるっていうのはどうなのか。そりゃ代り映えのしない生活なのだから話題はいつも同じだ。退屈だろうよ。今の自分の周りだって、酒とパチンコと飲み屋のネエチャンの話しかしてこない同僚との会話は、とてつもなく退屈だよ。だけど、あれじゃパードリックが気の毒だ。それまで付き合ってきた義理ってもんがあるだろうよ。だけど。それさえも無慈悲にも捨て去れる決意、そんななにかを秘めたコルムの堅い表情が、どことなく痛々しかった。
アイルランドと言えば、「ライアンの娘」だな。たしかに、退屈そうで、話題がないゆえに、すぐ他人を気にしたがる。妬む。あの映画の空気と似ている。コリン・ファレルも溶け込んでいた。ふとキャストを見てみたら、メインキャスト、全員アイルランド人だった。映画の中以外の事をいろいろ考えてしまった。
コルムが言う、「時々思う、人生は死ぬまでの暇つぶしだと」。この言葉はよく聞く。仏教的死生観なのかと思っていたが、彼らもそうなのだな。みうらじゅんは「生まれてから死ぬまでが余生」だと言う。その静けさを、コラムは求めたかったのだろうか。じゃあそれは、退屈とは違うのか。たぶん、違うのだろうな。「静けさ」の中には、心の平穏や安らぎがあるが、「退屈」の中にあるのは、「つまらない」という無意味な時間だろうから。コルムは気付いたのだ、それは無駄で無意味だと。おおいなる代償と引き換えにして。
この映画、パードリックに寄り添おうとすると、絶望と悲しみに襲われてくるが、コルムに寄り添ってみると、傷つきながらも何かを残せた達成感がある。
バリー・コーガンは、間違いなくオスカー助演男優賞を受賞する。
至高の演技四重奏。
鬼才マクドナー監督の脂が乗った演出と物語は言わずもがなではあるが、それを支える役者たちの演技が至高すぎる。
人間とは理不尽な生き物だ。
一度亀裂が入り、歪んだ溝は次第に大きくなり、取り返しのつかないところまでいってしまう。
まるで彼らの関係性は、どこかの国と国の戦争のようだ。
戦争で失うものは、指どころじゃない。
イニシェリン島は、閉鎖的であり窮屈で、しがらみがいっぱいだ。
私がこの島の住民ならば、耐えられずにすぐに出て行くだろう。
そして、対岸の火事如く、案ずる気持ちを表明するだけだろう。
こんなお話をここまで面白く、ブラック且つユーモラスに描ける監督は天才マクドナーしかいない。
映画通好みでしょうが、自分には合わず…
予告で観た得体の知れない雰囲気に惹かれて鑑賞してきましたが、なんだかよくわからない作品でした。
ストーリーは、毎日午後はパプで親友のコルムと楽しく過ごしていたパードリックが、ある日コルムから絶縁を言い渡され、納得がいかずに関係の修復を試みるものの、さらにコルムから「次に話しかけたら自分の指を一本ずつ切る」と告げられ、二人の関係がどんどん変化していくというもの。
予告で観たとおりのやりとりからおどろおどろしい雰囲気が最後まで続きますが、結局何を伝えようとしているのかよくわからなかったというのが正直な感想です。終始漂う閉塞感と退屈さは、直前に観た「ピンク・クラウド」と同様で、この雰囲気に4時間さらされて、眠気と疲労がピークに達していたのも、本作を楽しめなかった要因の一つです。
自分はパードリック側の視点からずっと観ていたので、コルムの変化に戸惑う彼の気持ちにはとても共感できました。しかし、コルムの忠告を無視した結果が招いた悲劇的な結末を見ると、なぜコルムの思いを尊重してやれなかったのかと複雑な気持ちにもなります。海の向こうのドンパチが何かを物語り、それがこの島の争いと共通の根底を持つのではないかと推測しますが、自分の知識がなさすぎてよくわからずじまいでした。このあたりが理解できる映画通には好まれる作品なのかもしれませんが、自分にはちょっと合わなかったです。あとで他の方のレビューを読んで補完しようかと思います。
主演は、コリン・ファレルとブレンダン・グリーソンの二人で、抜群の演技を披露しています。仲のよかった親友との関係がじわじわとこわれていく感じが、切なく悲しく息苦しく伝わってきます。そんな二人を取り巻く周囲の人たちをケリー・コンドン、バリー・コーガンらが演じ、その距離感からパードリックとコルムの人柄を浮き彫りにしているのも、なかなかの描き方だと感じました。
争いはお墓まで
今までに観たことの無いスリラーでした。
印象に残ったのは、美しいアイルランドの風景、バイオリンの音色、場にそぐわない発言をするドミニク、ロバの哀しい瞳
ドアにぶつけられた切り落とされたモノです。
ずっと不協和音が鳴り続けるような映画
なんか、ずっと耳の横で黒板に爪立てられているような居心地の悪さが続くような映画だった。
まず、コリン・ファレルをはじめとする出てくる人が全員変。そして、話も不可解。
ほぼひとネタだけで最後まで引っ張っていくけど、オチもなんか曖昧で、判ったようで判らないまま終わっていく。
指の件については、まったく理解不能。
なぜ、そんなことする?
行動とそのリターンのバランスが悪過ぎて???でした。
あー!島のイメージが!
憧れのイニシュモア島がこのようなお話の舞台になってしまうとは…。壮観な島中に張り巡らされた石垣はこの映画のためではなく貴重な土を強風で飛ばされないようにするためです。どうかケルトの精霊よお怒りにならないで下さいませ。
寒いのでアラン島のセーター着てアイリッシュコーヒー飲みます。
監督の意図は分かるものの暗過ぎる作品
タイトルにある通りです。
衝撃的なラストと広告にありましたが、私は読めました。
ダウナーな気分になりたい方は、どうぞ。
星1つは頑張って演じた出演者に対してのものです。
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