「雨降って地固まる?」イニシェリン島の精霊 かつまるさんの映画レビュー(感想・評価)
雨降って地固まる?
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昨日まで仲良かった友人が急に意識高い系になって、もうおまえとつるむのやめるわと言われる冒頭。
大学生にありがちだなと思った。
パードリックとコルムを通して、幼い頃友人とけんかしたときの居心地の悪い空気感がひしひしと伝わってきて、終始居たたまれなかった。
コルムが頑なにパードリックを拒絶するのには重い病気に患ったとか罪を犯してしまったとか誰にも言えない理由があり、最後は分かち合い仲直りする結末だろうなと思って観ていたら、新しい自分になりたい、それにはおまえと付き合っている時間はないという理由で、最後も関係は完全には修復しなかった。
人間関係もっと上手くやれやと言いたくなる。
序盤から始まったパードリックとコルムの内戦だがコルムの自傷行為をはじめ段々とエスカレートしていき、パードリックが可愛がっていたロバが亡くなったことをきっかけに一線を越えてしまう。
だが一線を越えたことにより二人の新たな関係性が生まれたような終わり方だった。
今作は内戦について描かれており、身内でも分かり合えない人や国は時には衝突し、新たな関係性を築いて歩んでいくという希望を持たせたラストだと感じた。
キリッとしている印象があるコリン・ファレルだが今作ではハの字になる眉で物語る冴えない演技が愛おしくて良かった。
また『グリーン・ナイト』や『ザ・バットマン』でも感じたが、風変わりな役を演じるバリー・コーガンは他の俳優よりも一際輝いていると今作でも感じた。
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