「絶望の作品」イニシェリン島の精霊 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望の作品
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全く救いがない。閉鎖された島民たちの退屈な日々を描いた作品。馬の糞の話を2時間もされたなら気が狂うのも解る。島民自ら自分自身を無意識の内に見放し、信仰からも見放された島。全く救いが無い。その現実に気付いた極小数な人たちは行動を起こす。作品製作、移住、そして自殺。余りにも悲しい作品だ。だが主人公のコリン・ファレルは気付かない。渦中に居ても気付かない。人は良いが考える力、知性に欠けている。その不幸が生涯を貫く。ただパブで呑む酒だけが一時の救いなのだ。私たち日本人も決して他人事ではない。今の日本もイニシェリン島と同じで、絶望しかない。表面的には人の良い国民であり、大学進学率も低くはない国だが、やはり「考える」という意味での知性に欠けた現実に気付かない国民が大多数である。この作品を鑑賞したのならば、考えるべきだ。そして、この国の政治を根本から糾すことが喫緊だと理解すべきだ。
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