「鑑賞動機:ブレンダン・グリーソン7割、マクドナー監督2割、バリー・コーガン1割」イニシェリン島の精霊 なおさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞動機:ブレンダン・グリーソン7割、マクドナー監督2割、バリー・コーガン1割
『ヒッットマンズ・レクイエム』でも組んでたマクドナー監督とグリーソン×ファレルということで、期待値高めで正直ちょっと油断してた。寝不足なんてもっての外、万全のコンディションで臨まないと大怪我必至の手強い作品だった。脚本も監督自身だし、過去作を考えたら一筋縄ではいかない作品なのは容易に想像つくのに。「人生は不条理」みたいな決まり文句では掬い上げられないものがあるように思う。
コリン・ファレルの眉毛がアレほどまでに雄弁に感情を表すものだとは。もしかして眉毛こそがファレルの本体なのかも。主演男優賞は十分可能性あると思うけど、バトラー、フレイザーとの争いか。
ブレンダン・グリーソン…好き。監督のインタビューによると、グリーソンが自分で曲書いて自分でバイオリン(この場合はフィドルと言うべきか)弾いてるのだとか。何だそれ、素敵すぎるよ。好き。時々デレてくるのについ油断して調子乗ると、アレを投げてくるとか理不尽な仕打ちに、ファレルと一緒にこっちも翻弄される。ビールのくだり噴き出しそうになった。恐るべき小悪魔ぶり(たぶん違う)。ただどうにも彼が口にしている以外に何か別の真意があるように思えてならない。なぜそこまでして? オスカーはバリー・コーガンとの票割れもあるし、受賞はすんなりキー・ホイ・クアンかと。
ケリー・コンドンもよい。お気楽兄貴と対照的でなぜか親近感が湧く。複雑な表情をするシーンが多かったけど、細かな感情の機微が見て取れて、引き出しが多いなあと思った。でも助演女優賞はアンジェラ・バセットにいきそうな。
バリー・コーガンも印象に残る。ちょっとだけズレてる感じが、妙に人を苛立たせたり、落ち着かなくさせる。『聖なる鹿殺し』や『THE BATMAN』の振り切った不気味さではないけれど、大丈夫か心配になる奇矯さからの…。喋り方も何かいじっているように思ったが、気のせいかな。
四人ともアカデミー賞初ノミネートらしい。
作品、脚本、編集はエブエブに、作曲賞はバビロンにいくと予想してるので、意外と監督賞とか取っちゃってりして。いやいややっぱりダニエルズか。