「良かったのひとこと」イニシェリン島の精霊 Masatoshi Matsumotoさんの映画レビュー(感想・評価)
良かったのひとこと
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買った映画祭のパンフレット見ると1923年が舞台らしい。アイルランド内戦が終わる頃。ドンパチと煙がそれを表してくれるが、島の人にとっての日常には何ら関係ない。
そんな中、日常ではいられないのが主人公のパードリック。長年の友人に接触を拒否され続ける。予告編ではそこが自分には疑問というか謎だったが、友人のコラムは多種多芸。パードリックは妹に何度注意されても牛を家の中に入れるとか、そういった所作しかない。そして決まった時間にパブに行く。仲間と談笑する。
そんな兄との生活に嫌気がさして本土、ロンドンか、それともアイルランド本土に渡って刺激的な生活を送ってると手紙が来ても、自分は島に残るという。
コラムとしては、残された人生を無為に過ごしたくないという思いがあっての絶縁宣言だったような気がする。実際、バイオリンで曲を演奏したり、人間味の深さを感じさせたし、そんなコラムを追い詰めたパードリックに、パブのオーナーが怒るのもわかる。
みんなどこかで、非日常を期待してるのだ。
翻って自分たちはどうだろう。日々の日常を当然と考え、とりあえず食べられてるし、いいかと、そのルーチンの中で有する疑問を粉砕してしまっている。指を切り落とす以上の事件があっても。
そんなことを考えさせられた映画だった。
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