「ルールはそれぞれ」ボーンズ アンド オール uzさんの映画レビュー(感想・評価)
ルールはそれぞれ
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過激な題材をどう着地させるかが気になっていたが、率直に言うと煙に巻かれた印象。
序盤、(トイレシーンいるか?とは思ったが)マレンの衝動が溢れて旅立ちに至るまでの展開はスムーズ。
そこから、同族と出会いながらのロードムービーへ。
いくつかの交流を重ねる展開は丁寧ではあるが、マレンのスタンスが不明瞭。
人喰いを否定するでも積極的になるでもなく、悩みや葛藤の描写もあまりない。
死の近い人間を察知し食べるサリーからは逃げ、感じの悪い独り身を食べるリーと行動を共にする。
「勘が当たってるかより自分がどう感じるか」というのは理解するが、この二人は“ルール”が違うだけ。
若いイケメンの“ルール”に倣っただけにも見えてしまう。
終盤、穏やかな暮らしを選んだようにも見えるが、食人衝動はそんなに簡単に抑えられるのだろうか。
サリーは「より強くなる」と言っていたし、母親との邂逅は逃れられないことを示しているように見えたのに。
また、「骨まで食べる前と後」について言及されていたのに、食べたところで終わるのは肩透かし。
あの後どうやって生きていくか、その選択が見たかった。
リーの狂気と脆さを孕んだ美しさや、サリーの不穏さは良かったが、もっと踏み込んだものを期待していただけに、やや残念。
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