TAR ターのレビュー・感想・評価
全257件中、41~60件目を表示
SNS世代によって駆逐される 旧世代の断末魔
「弱い者は去れ」。それでいいではないか。
昭和の人間として、同世代の同志=TARを観る。
・・・・・・・・・・・・・
東京藝大の指揮科は、入学定員は2名。
卒業しても安定した仕事場はまずない。
世界で活躍しているトップの指揮者など、ほんの片手の数だ。
厳し過ぎる前途だ。
TARは指揮者として、また教師としてどこかしら横暴なのだろうか?
僕はそうは思わない。
ついて行けない者はふるい落とされて脱落すれば良いことだ。
落後者たちは「自分にはこの教師に師事できるだけの素養も将来性もなかったのだ」と、黙して思い知れば良いだけのことだ。引けば良いのだ。
それでも熱い夢が続いているのなら、別の道を自身で探せば良いだけのことだ。
音楽院の学生でTARの助手を勤めるフランチェスカが、「冷たくされた」と思い込み、逆恨みをしてTARに対しての総攻撃を仕掛けたわけだが。フランチェスカは、自分が「甘ったれが許される幼稚園児」ででもあったつもりなのだろうか。
この映画作品は
【新世代と旧世代の断裂】、並びに
【旧い時代の終わる様相】をテーマとして、
「マエストラの失脚」というストーリーを題材に重ねて、時代の焦燥を厳しく抉っている。
「少子化」が、
世界中の経済と文化を蝕んでいるのだ。
「少子化」が、
人類の足跡、そして未来を破壊しているのだ。
=人手が足りない。
=労働者が集まらない。
だから採用基準は徐々にゆるくなり、クソを採用しなくてはならなくなっている。
宮仕えの正社員なんかになるよりも、彼らは即席YouTuberになって、脚光を浴びる丸儲けの人生を得たいと思っている。
彼らは市民として投票所に行くよりも仮想空間のメイドカフェでうつつを抜かしたいと願っている。
渋々就職はしてくれても、一週間で辞められてしまっては困るものだから、蝶よ花よと新人類は大切にされて、おだてられて、
そうして若者は大人の世界を舐めくさって、組織を(=オーケストラを) 掻き回してくれるのだ。
・・・・・・・・・・
【指揮者の日常を撮る貴重な映画】
劇中、
いくつかのクラシックの名曲が登場するが、メインは「グスタフ・マーラーの5番」だった。
冒頭の4音が「タタタター→、タタタター→、タタタター↗」と幽玄の彼方から聴こえてくるような、トランペットのファンファーレで始まる あれだ。
交響曲の作曲家たちは一つのジンクスを意識してきた、
それは第1に「ベートーヴェンの9番」についてのもの ―
《交響曲を9曲作った作曲家は死ぬという言い伝え》だ。
マーラーはそれを嫌い、8番と9番の間に「大地の歌」を挿入したのだが、結局彼も例外ではなく、9番を仕上げたところで彼は没した。
第2に、
ベートーヴェンの最高傑作「交響曲第5番=運命」を意識し、作曲家たちは取り分け自作の「5番」には自分の音楽家としての全てと、師ベートーヴェンへのリスペクト注ぎ込んできた。
ゆえに
マーラーが書いた「5番」のファンファーレは、ベートーヴェンの「5番・運命」の「タタタターン↘」の4音の音形をオマージュ引用している。
(※動画)
その「鬼門の5番」への挑戦。
そしてついに「9曲 全曲録音完成」のコンプリートだ。
何かが起こるに十分な序章だ。
ベルリン・フィルでのライブ録音に、満を持して挑戦するTARに「トラップ」が襲い掛かる。
・・・・・・・・・・・・・
【変質する情報社会】
今どきのゲーム世代や、SNSでの匿名中傷フリークたちが、親世代の大人の社会と、人類がここまで築いてきた荘厳な文化をあっという間に絶滅させてゆく時代。
人間の劣化。軽薄にして陰湿だ。
―その恐怖の有り様を、この「TAR」は見せてくれている。
孤高の教師TARに対して、
「死なばもろとも」と、報復の巻き添えを画策して自爆をした元弟子クリスタやフランチェスカ、
エルガーのチェロ協奏曲をやってのけた若者世代=フランチェスカ支持者のオルガ。
そしてパートナーのTARよりも風評を信じるシャロン。
そのどちらがより正しくて、より狂っていると思うのか・・
それは今現在のこの世界の趨勢が判断して、結論を出すことなんだろう。
爛熟した文明は、登りつめた栄華のあとに、いずれの地においても、戦争と倫理の乱れと疫病で没落していった。
頂点を極めたはずのあの都市たちは、どれもたがわず廃墟となり、滅亡した国家の遺跡と化している。
それは黄河、インダス、ギリシャ、そしてメソポタミア。
"あの没落” が、いまはとうとう全世界を巻き込む規模で、我々人類の歴史を爛熟から終焉へと導いて、自滅へ向かってスタートしているのだと、僕は思っている。
巷のニュースのすべてが物語るのは
山肌を1個の小石が転がり落ちるとき、僕らが見る現象=それは大きな山脈がいつかは崩れ去って跡形もなくなる未来の、それは紛れもない目撃であり、一コマなのだということ。
「そんな大袈裟な」と言われるかもしれないが、コロナよりもはるかに感染力が強く、人類をINTER-NETして伝播する新しいウイルスは
そこまでの破壊力を持っていると思う。
フェイクニュースが巷に流れる。
真贋の見分けがつかない動画も溢れる。
産業も 通信も 銀行も止まる。
それらは悪ふざけを競うハッカーたちばかりでなく
国家間での情報戦として、実弾と遜色ない威力で敵陣を惑わせ、民心を迷わせ たぶらかしている。
「何が本当のことなのか」
もう誰にも分からない世の中ではないか。
リアルよりバーチャル、
肉筆よりも 生成AI、
肉体労働よりも3Dプリンター、
面会よりもリモートだ。
熱弁を飛ばし、熱いタクトをふるい、
激しいジョギングで自分の雑念と闘い、
サンドバッグを殴って己の弱さを叩きのめそうとする指揮者のTARに、
僕は強く惹かれる。
が、そういう昔のおじんである僕は
小さなきっかけでTARと同じ「おやじ狩り」の標的となり生贄とされるんだろう。
顔面蒼白。白塗りのメイク。
時代遅れで、VHSテープを観ていて、若者文化に疎いTARは、スマホのチャットによって呆気なく葬られていくのだ。
これは明日の私たちの姿。
フィリピンの奥地に逃げて行ったって、そこには最早 着ぐるみの化け物しかいなかったというラストシーンに
鳥肌が立つ。
デジタルデトックスは、もうこの世では不可能なのか。
顔も声もない匿名のバーチャルワールドの隆興によって、早晩人類は滅ぼされてしまうのであろうけれど
「その前に、このわたしの断末魔も聞きやがれ」と
リディア・ターの目は語っているのだろうと思う。
・・・・・・・・・・・・・
マーラーの5番のファンファーレは、
世の終焉を告げる葬礼のラッパ。
世界の終わりを嘆く、絶望的な閉塞感と死の扉の軋みのように聴こえてならなかった。
·
(※)
楽譜付きマーラーNo.5冒頭動画
Curtain up for Mahler!
#trumpet#sheetmusic
ケイトを愛でる
ケイト・ブランシェットの独壇場の作品。
ひたすら彼女の演技を2時間半、堪能する。
ブルー・ジャスミンも良いが、こっちも負けじと良い演技。
最後の方の、副指揮者に殴りかかるとこなんて、笑ってしまうほど、迫真。
20231216 目黒シネマ
音楽は動く
そんなに主人公が悪いようには感じなかったのだが、パワハラに鈍いのかもしれないが、余程主人公の方のストレスが強いと思った。若いチェロ奏者はあー今時のイヤイヤ感だしてるーで、そんなのが好きになっちゃうの?才能に惚れた?他の人のレビューを見てどういう意味なのかを拝見したがそれでも意味が分からんかった。
更なる高みへ
努力と才能に見合った地位を手にした所から始まる転落劇。正しい選択をしても過程を誤れば正しい結果を得ることはできないのは当然のことだ。
しかし、主人公は最高の演奏を求められる世界一のオーケストラの指揮者だ。民主的に正しい方法で音作りをしていては、途中で確実に空中分解してしまうだろう。
であるならば、楽団内部に軋轢を抱えることになろうとも、己の芸術性と名声を武器に独裁者になることも必要だろう。しかし、今の社会はそこから出てくる小さな軋みも聞き逃さない。
であるならば、権威の城からの転落は必然ということになる。何とか生き延びられたとしても、この時点の彼女では望む成果にはたどり着けないだろう。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。原点となった音楽への思いを取り戻したことで、新天地へと踏み出すことになる。
きっと、次こそは音楽への思いを忘れることなく、更なる高みを目指すのだろう。謙虚さや思いやり、用心深さと狡猾さも新たな武器にして。
…
バッハを否定する学生は、この作品の良き道標となってくれた。彼のシーンとラストシーンが、この作品の主たるテーマを表現していると思う。
…
演奏者のブラインド審査と、マッサージしてくれる女性を選ぶ水槽の対比は印象的だった。ただこの対比が何を表すのか、初見では理解できなかった。
彼女の絶頂と崩壊と
絵が上手に書ける人のほか、楽器ができる人は「人種が違う」と思うことにして自分自身を納得させ、自分のメンタルを守っている評論子ですけれども。
反面、楽器の演奏を聞くのは大好きなのてすが、そんな体たらくの故、クラシック音楽の指揮者・演奏家の世界にはまったく不案内なので、その限りでの(まったくの映画作品としての)評であることを、あらかじめお断りしておきたいと思います。
マエストロ(名門オーケストラの首席指揮者)の世界も、やっぱり「男社会」ということで、女性マエストロ(本来ならばマエストラ?)であるリディアには、何かと生き苦しい世界だったのでしょうか。
冒頭のインタビューシーンから、まずその彼女のその「立ち位置」か感得できるように思いました。
言ってみれば、そういう「ガラス細工」の上にリディアの権威は成り立っていただけに、いったん崩れ始めると、その崩壊の速さは、あっという間だったのだろうとも思います。評論子は。
彼女が、男子学生と意見が合わないことに苛立って、パワハラとも受け取れるようなに辛辣な態度をとったり、プライベートの性的な面(同性愛)では意外と乱雑気味(?)であったりすることが窺われることは、斯界で女性の地位が高くは評価されていないことのストレスの、いわば「はけ口」になもなっていたことでしょう。
そういうストレスのから、いわば内部崩壊を起こしてしまい、楽団を去ることにすらなってしまう―。
「強面」のような外面とは裏腹に、彼女の苦しかった?心情には、同情を禁じ得ないようにも思います。
解説的なセリフも少なく、会話主体の本作は、本物の鑑賞能力(洞察力?共感力?)が要求されますが、佳作の評価には値する一本だったとは思います。評価子は。
<映画のことば>
指揮者は作曲家に奉仕するの。自我もアイデンティティーも昇華させ、聴衆と神の前に立って、自分を消し去る。
(追記)
本作でのケイト・ブランシェットの演技が圧巻だったことは、まったく異論がありません。評論子にも。
(追々記)
評論子が参加している映画サークルの「映画を語る会」でお題作品として取り上げられていた一本でしたけれども。 今は地方暮らしをしている評論子には観る機会がなく、当時は「聴講生」として悔しさを抑えながら、話し合いを聞いていたものでした。
DVD化になり、ようやく観ることのできた作品でした。
鄙(ひな)に住んでいると、映画一本観るのにも苦労がありますけれども。
これも「艱難、汝を玉にす」の試練だと思い、乗り越えることができればと考えています。
『ブルー・ジャスミン』のケイトが帰ってきた
ケイト・ブランシェットは、『ブルー・ジャスミン』でセレブから真っ逆さまに堕ちていく女性を演じた。本作との女性指揮者リディア・ター役との大きな違いは、ターには自分を偽る嘘がないということだ。
嘘がない。自分にも他人にも極めて厳しい。思い込みとこだわりの究極の完璧主義者。だから頂点に立った。究極の真を追求しすぎた。いつしか自己肯定は他者否定につながり、パワハラ、スキャンダルに発展していく。
嘘があってもよかったのだ。虚栄心に溺れてもよかったはずだ。彼女の鬼気迫る演技は、そう思わせるほどの人としての意地が炸裂していた。音と映像が見事にマッチした空間で、彼女の孤高は際立っていた。
同性愛者のリディアの唯一の癒しは、妻シャロンとその娘との静かな生活。シャロンの控えめな存在感が光る。シャロンを演じたアンナ・ホスはドイツ映画の至宝。「東ベルリンから来た女」、「あの日のように抱きしめて」など秀作の主演に抜擢されている。あのケイト、ルーニーの同性愛を描いた「キャロル」とはまた違った視点で、ふたりのコラボの妙味を味わうことができる。
リディアの字幕のテロップが、すべて男性の口調で出てくるところも効果的だ。
リディアが失意のどん底の中、実家の部屋でバースタインのビデオに涙を流すシーン。
原点に帰る、初心に帰るっていいなあ。素顔のリディアがとても可愛かった。
張り巡らせてある伏線に疲弊。。。
冒頭のインタビューシーンは、なかなか印象的だ。
インタビュワーがター(ケイト・ブランシェット)の経歴を延々と話すのだが、ターはリラックスした様子で終わるのを待つ。
すべてについて自信たっぷりだ。
ジュリアード音楽院での講義では、バッハを嫌う一人の学生を完膚なきまで論破する。学生の″止まらない貧乏ゆすり″が、ストレスの大きさを表している。
とにかく、すべてのシーンに「伏線と思わせられる映像や音」がびっしりと張り巡らせてあり、見るのに大変な集中が必要になる。
気になったのは、
玄関チャイムの単調な繰り返し
ジョギング中に聞こえた女性の悲鳴
など。
観る側にも高いテンションがかかる作品だ。
終わった後、どっと疲れが残った。。。
サスペンス映画いやホラーに近い恐怖
始まりから、主人公のターが盗撮されている?
事件が始まる予感がありましたね。
オーケストラの指揮者のターが頂点にいる。
テレビのインタビューで、堂々としたたずまいで終盤私は愛を,選ぶと返事しています。
いや、そんな人間じゃないよねー🫵
もう、ケイトの演技が最高ですね。
ターはレズビアンを、公表していてお気に入りの可愛がりが、まぁ酷い。
ターに尽くす人間には、まぁ冷たい😱
そして、完璧主義、潔癖症であるターにとって事件をきっかけに、落ちて行く様子がまさにホラー映画さながらでしたね。
最終は、バカにしていたアジアに足を運び、潔癖症のターが自然に触れ、何かを感じ取ったかのようにも思わされました。
ラストにモンスターハンターの楽曲の演奏の指揮者の後ろ姿には、カッケーと思いましたね。
素晴らしい映画ですね👀
希有な女優ケイト・ブランシェットに酔え!
わたしはクラシック音楽は門外漢ですから、頂点を極めた女性指揮者がとあることから落ちぶれていき、そこから再生していく兆しを見せたところで終わるドラマとして鑑賞しました。
ドラマの表現としてはさほど激しくはないもののケイト・ブランシェットの立ち居振る舞いに魅せられて2間40分ほどが短く感じてしまいました。
あらためて彼女の力量に感心しきりでございました。
DVDで観るものではなかった
映画館で観ていれば集中してもっと楽しめたかもしれんがこれは家では観てはいけなかった…。
つまらなくて集中が途切れてついスマホをいじり出し内容が頭に全く入らなかった。。
真剣に観れば面白いのかもしれんが
音楽の専門用語や人物の名前がやたらたくさん出てきてついていけないのとセリフが多く、やたらずーーと単調でありこれは眠くなる。
急に主人公が殺人犯になり出したりしてサスペンスミステリー的な流れになり出したら面白かったが、、
戦闘ものばかり観てるとこういう映画がついつまらないと感じてしまう。
ストーリー的にもこれは本当に楽しいのか??
ちょっと個人的には微妙すぎると思った。
ケイトの演技が上手いのは分かるが、内容をもっと面白くしてくれ。
最後も訳がわからなかった。
唯一良かったシーンはブラウン管のテレビを観ている時の出演者の人の音楽に対するすごくいいセリフ。
ここはノートにメモしました。
ヨーロッパの巨匠監督の映画を見る脳ミソで鑑賞
個人評価:3.5
ミヒャエル・ハネケの作品を見ているかのような、不思議な旋律なストーリーだったが、最初から最後まで出ずっぱりなケイト・ブランシェットを、余すことなく堪能できる。
あまり情報をいれず鑑賞した為、掴みどころのないストーリーに戸惑ったが、最初からヨーロッパの巨匠監督の映画を見る脳ミソで鑑賞すれば、すっと入ってくる作品だったと感じる。
DVD初見。 尤もらしいが。 大物のスキャンダルを今風に捻っただけ...
DVD初見。
尤もらしいが。
大物のスキャンダルを今風に捻っただけの凡庸。
大女優の毎度の激演も、肝心の指揮動作が指揮っぽいでしょ?感丸出しで見てられぬ。
演り損。
Wの悲劇三田佳子の風格尊大繊細に軍配。
オチの据わりも悪い。
要するにツマラン。
にしても3時間
ケイト・ウィンスレット自身最高の演技、みたいに囃されてたから若干楽しみな気持ちもありながら鑑賞したが正直複雑だった。
ただ彼女の演技にだけ関して言うと、ワンカットが長かったり、セリフや立ち振る舞いも凄みを感じるものがあってなるほどな、と思えた。
ストーリー自体は複雑で難解な印象を抱いた。
出てくるワードが馴染みのないものばかりだったからか、登場人物の顔と名前が一致しないからか、とにかく分かりづらかった。
私の集中力不足ということも充分考えられるので、考察サイトを読んで細かい描写の意味する所に追いついたが、にしても3時間もかけて鑑賞した末に辿り着いたのがこんな感じかーという感じ。
部屋のインテリアや建物の内装、服装や車といった映画の世界観を彩る部分に関しては綺麗なものばかりでいいなと思った。
未来からのメッセージ
Q:姉さん、もしこれがヘテロの白人男性を主人公にしていたらどうだったでせうね?
A:たぶんヘビーではあるけどフツー、だったはず。
それを性的少数者の女性(しかし白人)にしたところにひねりがあって企画として目新しいし、権力もってる人間の暴力性に性別や性志向の差はない、って視点の徹底ぶりは「多様性」ガチ勢の考えた企画という印象。
冒頭からだいぶ長い時間、意図がわからないままただ映像を眺めるしかないシーンが続くので集中力が必要だし、会話で出てきた名前が何個かシーンを跨いで出てきたりするので記憶力も求められるのでつかれる。でもずっとジョーカーが出てるダークナイトみたいに、ケイト・ブランシェットから目が離せない。
しかし早い。早すぎる。人類にはまだ早すぎる。
よくエンタメは時代の半歩先くらいが丁度いいとか言われるけど、その点これは余裕で2歩先くらい先を行っていた。
旧世界の人間としては我が身を振り返ってほんのりと(かつての価値観に迎合して生きてきた)後ろめたさと同時に過渡期を生きるつらみを感じたりもした。冒頭のシーンとかなー、つい気持ちはわかる。ってなるもんなー。。
今このネタをやるんなら、180度逆のオチだったらもっとわかりやすかったんじゃないのかな、と思う。
でもきっと、こちとらそんな半端な覚悟じゃねぇ!って気合の入った人たちが作ってるんでせうね。
だからこれは目先のエンタメに満足しない未来からのメッセージで、今よりも5年、10年寝かした方がもっと良くなるんじゃないのかな。
ちなみに私はエンタメ映画が好きなんですねー(反省の色なし)。
正直、お腹のちょーしが悪く終始ゴロゴロしてたのもあり、割とがまん比べではあった。でも音の鋭敏さや画面の緊張感など、没入度は高いし劇場で見るべき作品なのは間違いない。
ラストは観客に委ねる系エンドかもですが、仮に「サンセット大通り」みたいな意図だとしたら、あれだけではちょっとわかりにくかったかな。。
選択肢が多すぎても困る
楽団で指揮者として活躍からのミステリー作品。
まず、序盤は鑑賞者に催眠術の耐久レースを仕掛けてくる。
無事突破すれば話は進んでゆき、不穏、そして最後は明後日の方向に飛んで行く。
メッセージ性などもあるので、
内容がよく分からない場合は解説サイトを見ることを勧める。
★評価+1くらいはされるかもしれない。
良い点
・楽団と話の掛け合わせ
・程々に怖い
悪い点
・眠い
・長い
ケイト・ブランシェットの演技はすごいけど……
ケイト・ブランシェットが凄い演技をしているようなのは分かるのだけど、自分はノリ切れなかった(^^;
物語としては、頂点を極めつつある指揮者リディア・ター(ケイト・ブランシェット)が世界最高峰のベルリンフェスで指揮するのだが、子供いじめ被害から始まって、副指揮者の馘切り問題、チェロ奏者のエコひいき⇒オーケストラとの不調和、若手指揮者の自殺⇒告発などなど様々な事が起こって精神崩壊状態となっていく感じなのだが、過去映画の『ブラックスワン』などと同系統の作品に見えたが、本作はやっぱり入り込めない感が強かった😥
なぜノリ切れなかったかを思うと、やはり登場人物の関係性が序盤で明確に把握できなかったことではないだろうか?
また、時々、リディアのドイツ語会話が字幕なしとなるのも、「アメリカ人が観ているのと同じ環境にするため日本語字幕を付けなかったのだろう」が良く分からない。
あと、尺が長めの割に[ツボ]らしいエピソードが無い……など不満が沢山出て来る。
自分に合わなかった映画であった…とするしかない感じであり、本作について今後いろいろ調べたりしてもう一回観よう…などという気は起こらない(^^;
全257件中、41~60件目を表示