「カオスを経て原点にもどる」TAR ター ひでぼーさんの映画レビュー(感想・評価)
カオスを経て原点にもどる
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真面目なオーケストラ作品かと思いきや、途中からなかなかのカオスっぷり。
ステレオタイプと、多様性をおしつけるステレオタイプ、どこにでもある原理主義、パワハラ、セクシャリティ、炎上と、現代の問題を詰め込んだ作品になっている。
ただのドラマにせず、もはや何が正しいのかわからない。そんな現代をありのままに現していた。
前半は非常に抽象的な会話が続くが、この作品の軸であり、カオスの中心となるターを表現するために必要なプロセスである。
登場人物が多く、説明が少ないので、理解するまではひたすら知らない人の噂話を聞かせられるのはちょっと厳しい。
そして、なんといってもラストシーン。だれもが拍子抜けに感じる(劇場でもそんな雰囲気を感じた)なのだが、振り返ると終わり方も含めこの作品の真髄なのだと感じる。エンディングもクラシックではなく、ロック。
名声とか、炎上とか、ジャンルとか、そんなものから無縁の、純粋に楽しむこと。表現できない感情こそが大事という原点。
bunkamuraとか、大阪の作曲家(カプコンのことね)が出てきて嬉しかった笑
2023年劇場鑑賞72本目
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