「アイロニーとサポート」TAR ター berkeleyさんの映画レビュー(感想・評価)
アイロニーとサポート
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Tar
冒頭のインタビューでも、ターは熟考し雰囲気に調和する形で答える。一歩自分と線を隔ててはいても、同業者と師匠のことを立てている。音楽に対しては、誠実に向き合い、文化を維持しようとしている
ケイトの演技によって、流れるように見せられる生き方だが、水面下では過去と現在の爆弾が近づいている。
口演の練習のためただ音声を流している、生家に戻った時に行われる会話、生きづらさを垣間見る。関係性も互いに複雑だが、それぞれに愛情を抱いているようにも思える。基本静寂の映画なのに(音楽も含めた)雑音が話題に上ったり、アートも大衆の評価から逃れられなかったり、振り返り思うことは多いが、最後のシーン、演者達を紹介するターの所作が希望を写している。
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humさんのコメント
2023年5月25日
他作への返信ありがとうございました。TARのレビューもまたいつもなから鋭い洞察力で斬り込まれ…思わず震え?ます。確かに生家での会話や様子にはハッとしました。つくりあげられた完璧な武装が外れたのを覗いてしまった感じがしました。そして、あの日、あの場所に帰ったことにより、ラストへ向かうことができたと。あの彼女さえ追い詰められた位置から、とりもどす。あるいは、「もどせる。」なんだか深いメッセージが浮き出たような。。。