劇場公開日 2023年5月12日

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「リディア・ターのカリスマ性と作品の構造」TAR ター ヒックス伍長さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0リディア・ターのカリスマ性と作品の構造

2023年5月14日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

「イン・ザ・ベッドルーム」「リトル・チルドレン」のトッド・フィールドが16年振りに監督した長編作品。
天才的才能を持つベルリン・フィルハーモニー管弦楽団初の女性主席指揮官リディア・ターの栄枯盛衰を、昨今のキャンセル・カルチャーを軸に、彼女が行使する権力とその結果を浮き彫りさせながら描かれる、いわゆるヒューマン・ドラマ、のはずなのだが…。

158分にも及ぶ、異色の長編。
一回の鑑賞では、散りばめられたあらゆる仕掛けに反応出来ないと思う。
冒頭、いきなり始まるエンドロールとバックで流れる謎の歌声。
誰が撮っているのか分からないリディア・ターの寝姿らしき映像とチャットの文字。
序盤に描かれる約8分にも及ぶリディア・ターのインタビューシーン。
そして、さらに彼女が教えるある講義の一部始終を描いている約10分を超えるワンカット長回しのシーン。
この冒頭のシーンはどれも作品の展開を示唆する重要なシーンである。
そして、それ以降も無駄なシーンは一切なく、すべて物語の展開に直結している。
この、本作の基軸リディア・ター役のケイト・ブランシェット。
「ブルー・ジャスミン」でのジャスミン役の印象は強烈だった。
本作はある意味近いキャラ設定ではあるが、そもそもトッド・フィールドはケイトを主役とすることを念頭に本作の脚本を書いており、またケイト自身もそれに応えるかの様に、ドイツ語、ピアノ、オーケストラの指揮者等のレッスンに励んでいる。
その結果、公開当初、本作のリディア・ターが実際の人物だと思われたらしいが、もちろん人物も話も架空である。
ケイト・ブランシェットの力量が遺憾無く発揮された本作の魅力は、話運びの方向性とミステリー的要素でもある。
ただし、劇中において謎は一切明かされない。
本作は2回、3回と観て理解を深めていくべきだろう。
また、遠慮なくネットやYouTubeの解説や動画を観て、劇中のミステリー部分を考察するべきだと思う。
そうすることで必ず2回目が観たくなる。
すると、散りばめられられた謎も少しづつ解けてくるはずだからである。

最後にある映画ライターの動画からの引用。
「TAR」と言う名前の由来を、トッド・フィールド監督は「アナグラム」であること以外ケイトには説明してなかった。
なので、ケイト自身は「TAR」を「RAT」のアナグラムだと思っていたらしいのだが、果たして真相とは…?

ヒックス伍長
ヒックス伍長さんのコメント
2023年5月17日

エイリアン2です
ハイ

ヒックス伍長
2023年5月16日

エイリアン2っすか
ヤバ

お主ナトゥはご存じか!