「観たい度◎ 鑑賞後の満足度◎ 今まで観た映画の中で最も面白い(興味深い)女性キャラクターの一人。」TAR ター もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
観たい度◎ 鑑賞後の満足度◎ 今まで観た映画の中で最も面白い(興味深い)女性キャラクターの一人。
①全編を圧するケイト・ブランシェットの演技が凄い。既に当代一の演技派大女優の名を欲しいままにしている彼女だが更に高みに登った感がする。誰が今年のオスカーを取ったのか忘れたくらい(『エヴエヴ』のミッシェル・ヨーでした)、何故彼女が取れなかったのか不思議なくらい。
でもヴェネチア映画祭をはじめ名だたる映画賞は彼女が取っているのでまあ良いでしょう。
②私は音楽が好きだが(といってもポップ・ロック・歌謡曲が好きなミーちゃんハーちゃんですけど)、音楽の素養もないしクラシックも殆んど聴かない。
音楽がわかっていたらもっと面白いのだろうと思うけれども、リディア・ターという女性の生き様を追うだけでも面白い。
三時間近くに及ぶ長尺だけれども少しもスクリーンから目をそらせなかった。
③ターが養子のペトラが学校でイジメられているのを知り、イジメっ子を脅すシーンのケイト・ブランシェットの演技が怖い。
それと共に、この些細なシーンか大事なのは、“私が言ったということを人に話しても信じないわ。だって私は大人だもの”という台詞の‘大人’を‘ター’に置き換えると、この時の彼女の心理が透けて見えるからだ。この私‘ター’に刃向かえるものはいない、という驕りである。
そして、その驕りが後半彼女の脚をすくうことになる。
④ターという女性の性格やその時その時の心の動きをを表すのに、彼女の行動や表情のみで描写しているのも実に映画的。
冒頭近くの巨匠と呼ばれる人たちの床に敷き詰められたレコードを素足で分けていくシーン。ここは後に転落した彼女が自分の生家で若い時何度も観ただろうビデオ画面(カラヤンだったと思うけど)を前に涙を流すシーンと対になっている。
⑤指揮者という仕事をしている彼女だが、その私生活では不協和音(雑音)が多い。
彼女をレズビアンにした設定は巧いと思う。これで少なくとも男女関係というある意味一番の雑音を排したから。
これにより彼女を悩ます不協和音(雑音)がどういうものかより明確に描写できたと思う。
⑥全編張り詰めた空気を漂わせているが、2箇所だけ思わず笑ってしまいそうになるシーンがある。
1つは地下通路で何か(誰か)に追われて階段を駆け上がった時に躓いて倒れた際に、見事に顔から石段のへりか何かに激突する場面。あまりに見事な転け方だったので、他人の不幸を思わず見た時に現れる私の心のダークサイドが私を微笑ませてしまった。
2つ目は、レッスン用のアパートの大家が亡くなって家族か親族が「部屋代を値切られるから、“騒音”を出す時間は決めて欲しい」といわれた時、“音楽”を“騒音”と言われて(まあ、わからん人には確かに騒音でしょうな)ブチキレたターが、アコーディオンを鳴らしながら本人たちを前には言えなかった本音を歌で吐き出すところは、ターの素の部分(人間らしい部分)が出てしまったようで可愛く笑ってしまった。
⑦この後は、も一回観てから…
活動家から仏門へ!!
それは、多彩なご経験を積み重ねて来られた事でしょうね。
私は学生時代から自分の思想は保守寄りであるという自覚があったので、けれどもなればこそ社会主義・共産主義の方々の考えや理念を内側から学んでみたいと思い、組合活動の支部役員を務めました。
おかげで良き先輩達から偏見なく良い点も多々学べたと思います。ただ一般組合員の自分ごととして考える意識の低さや執行部は何からでも守ってくれる魔法のサービス機関とでも考えているような勝手なイメージに幾度も幻滅しましたねぇ。
(専従じゃあるまいし、こちらも本業はキミら以上にこなしているのに何故滅私奉公でキミらを守ってやらなくちゃならないんだ。自分の身だけなら自分で守れるしもういいや)という気分にはなりました(苦笑)
六道輪廻みたいなものがあったとして「人間の修行の場が地球なのかもしれないな」と思ってみたり。それならば「修行の必要な魂ばかりが地球に集められているわけだから「「争い事から学ぶ為」に争いは無くならない」「課題クリア出来た魂の方が、違う次元に移行する」なんて考えてみたり。
あとはね。もしかしたら「脳」ってコンピュータ的な器官ではなくってね。
私達の「本体」はもっと違うところにいて、脳は本体の思考を受信する「受信機」的な器官なのかもしれない、と思ったり(あれ?どんどんSFじみてきた?(苦笑)
キリがなくなるのでこの辺にしますねw
また共感作で交流出来る事を楽しみにしています。
今後とも宜しくお願い致します。
熱いコメントありがとうございます〜♪
うん、人徳者なんかじゃない、ない(笑)
それに権力の椅子って座った瞬間は、どこまでが権力に付随している権利なのか判別不能なところもあるんですよね。
本当は目的のある正当な行為で幹部諸氏の許可も得ているのに事情を知らない末端からは公私混同だと誤解されたりね。微かな慢心が脇の甘さに繋がるのは、冷や飯食ってから気付いても遅いんだなぁ(意味深www)
権威者におもねる者も大勢いるし、もーさんさんの仰る通り「支配される側のリアクションを描く事」も重要だと思います。
進歩の為の原始欲求。私も同意見です。ただ、悲観ではなくて「人間もそこに捉われているうちは動物」
「それを脱却出来た時、次なる「進化」が訪れる」
みたいな感じで考えています。
別におかしなスピリチュアルかぶれではないんですけれど、それを個人で超えるのが釈迦やキリストみたいな「解脱」かもしれないし、集団的無意識で発生するなら最近耳にする「アセンション」みたいな話に繋がるのかなぁ?と。(「権力・支配欲」の克服だけじゃ足りなくて「嫉妬心」とか自己実現、自己超越、課題は山積w)
諦めたらそこで試合終了なので、人類史6千年とか1万年とかかければ、少しずつDNAも上書き出来るんじゃないだろーか?と楽観しております。