「ケイト・ブランシェット渾身の演技で魅せる、この作品そのものが協奏曲。」TAR ター あささんの映画レビュー(感想・評価)
ケイト・ブランシェット渾身の演技で魅せる、この作品そのものが協奏曲。
ケイトの演技にあっぱれだ。舞台に立つ前の張り詰めた感じや気が緩んだ時の表情。縦横無尽に指揮棒を振る姿。
権威的な顔を見せたかと思えば、親の顔も時折覗かせる。講義やインタビュー時などの長回しとあの膨大な台詞の数……、彼女の実力たるものをありありと見せつけられた。
メトロノーム、ブザー、叫び声など本作は“音”を使った演出も素晴らしい。
順調だったはずのリディアのキャリアは、あることを境に崩れてしまう。転調してまた転調して、作品そのものに不協和音が鳴り響いている。
まだまだ男性社会なクラシック界で生きるレズビアンという設定も面白い。
若手指揮者の告発が真実なのか、フランチェスとの過去の関係などなど、白黒はっきりさせない部分が沢山ありスッキリしないけど、見応えはあった。
ちなみに、撮影現場で同時録音された音源が劇中で使用されているとのこと。サウンドトラックのクレジットには、ケイトの名前が“指揮者”として記されているというからさらに驚き(映画評論より)。
今作はケイトの一人勝ちです!
追記
バッハの「アヴェ・マリア」が好きです。
子ども20人作ろうがバッハが後世に残した名曲はこの先も後世へと受け継がれていくのです。
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