「ディザスター映画の衣を着た中年とっ散らかりコメディ。」ホワイト・ノイズ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ディザスター映画の衣を着た中年とっ散らかりコメディ。
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いかにもノア・バームバックらしい、パラノイアに陥った中年がとっ散らかったことをやらかすヒューマンコメディでありつつ、スピルバーグやスコセッシなど多種多様な映画をカバー演奏するような映像面でのお遊びがわんさかあって、それが作品のメタ構造と密接に結びついている。かなり複雑なことをやってのけている印象がある。
エンドクレジットのダンスシーンは、大量消費社会を皮肉っているのは明白しても、われわれなりにこの社会を楽しんで生きるぞ!という決意表明のようにも感じ、ダークな批評性と祝祭感がいっぺんに押し寄せるようなカタルシスがあった。
煙に巻くような難解さから漂うインテリ感は、いけ好かないと捉えられかねないと思いつつ、キューブリックの『アイズ・ワイド・シャット』のように、遠回りの果てにシンプルなところに着地することで、愚かな自分たちを肯定してくれる映画ではないかしら。`
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