「【茫漠たる死への恐怖を抱えた夫と妻や家族や、多くの人々の姿をシニカルに描いた作品。カラフルなスーパーマーケットで買い物をする人々の姿も脆弱な”愛、幸せ”を暗喩している作品である。】」ホワイト・ノイズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【茫漠たる死への恐怖を抱えた夫と妻や家族や、多くの人々の姿をシニカルに描いた作品。カラフルなスーパーマーケットで買い物をする人々の姿も脆弱な”愛、幸せ”を暗喩している作品である。】
ー 章立てで物語は進む。
第一章では、数々の映画での車の衝突シーンが描き出される。物語のストーリー展開が暗喩される。
その後、大学教授のジャック(アダム・ドライバー)と、バベット(グレタ・ガーヴィグ)夫婦と子供たちの一見、幸せな家庭風景が描かれる。
だが、並行して有害な化学物質を積んだトレーラーが、列車に突っ込み大量の化学物質が黒い雲となって、彼らの住む街に近づいてくる。-
◆感想
・バベットは、家族に内緒で、ダイラーという薬を服用している。売っているのは怪しい男である。バベットが効能も良く分からないダイラーを服用していた理由は”茫漠たる死への恐怖”を克服するためである・・。
・有害な化学物質が拡散したため、町を逃げ出す人々の車の列も、何だかシニカルだ。
ー 一瞬で幸せな生活が崩壊する、現代社会の脆弱さを揶揄しているようにも見える。そして、ジャックは有害物質が含まれた雨を二分半、給油中に浴びたことで、医者から検査をされ精神の均衡を徐々に失って行く。-
・そして、ジャックはバベットにダイラーを売っていた男が、妻と情交していた事を知り、男を殺しにモーテルへ出かけ、散乱するダイラーを踏みつけながら、男に発砲する。
ー この辺りは、物凄くブラックシュールである。コメディと言っても良いかもしれない。バベットは薬が欲しい為だけに男に抱かれる。
そして、死んだと思った男は、ジャックに発砲するが、バベットも夫を追ってきていて二人とも負傷。そして、3人とも救急車へ。だが、ジャックとバベットは隣同士で寝かせられる。
<その後、何事もなかったかのように、彼らは日常生活に戻る。そして、日常生活を象徴しているカラフルなスーパーマーケットで買い物をする人たちの姿が、長廻しで映し出される。
今作は、普通の生活をしながらも、茫漠たる死への恐怖を抱えた夫と妻や家族や、多くの人々の姿をシニカルに描いた作品である。>